2016 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム少数民族の伝統野菜と伝統果実の遺伝的特性と食品機能性の探索研究
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15H05127
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 考志 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (90285247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 繁久 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (30211808)
久保 中央 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60347440)
久保 康之 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80183797)
中村 貴子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (70305564)
武田 征士 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (90508053)
伊達 修一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (80236786)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 少数民族 / 伝統野菜 / 伝統果実 / ミント / ズーボア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はベトナムで栽培される野菜・果実について普及種と少数民族がもつ伝統品種の中から,がん患者のQOL向上機能の高い品種を探索して遺伝学的な差異を明らかにするとともに,植物生理学(日長感応と耐寒性)・植物病理学(耐病性)・農業経営学(採算的な生産可能性)の観点から,日本で栽培と普及が可能な品種を特定することを目的として4つの主項目で構成している. <主項目1>ベトナム少数民族の伝統果実から糖尿病患者用食材を見いだすフィールド調査,<主項目2>ベトナム少数民族の伝統野菜からがん患者用食材を見いだすフィールド調査,<主項目3>ベトナム伝統野菜・果実の遺伝的特性に基づく日本の風土での栽培可能性の調査,<主項目4>ベトナム伝統野菜・果実の日本への普及を想定した採算的な生産可能性の調査
2016年度はハノイ市内と郊外の農産市場を調査地として,市場販売されるミントとズーボアを普及種として収集した.またベトナム北西部の少数民族居住地の農産市場および農家を調査地として,ミントを伝統品種として収集した.販売員または居住者からは農産物の情報を現地ガイドの通訳協力により得た.今回の調査で収集したミント10普及種と少数民族が保有する96伝統品種を入手できたため,がん患者のQOLを高める効果の順位付けをおこなった.また無甘味メロンは5品種入手できたため,日本で栽培し得られる果実の糖と香気成分分析により糖尿病患者のQOLを高める効果の高い品種を決定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハノイ市内とハノイ市郊外の農産市場,ホーチミン市内とホーチミン市郊外の農産市場,ベトナム北部と北西部の少数民族居住地の農産市場および農家からスペアミントを10普及種と96伝統品種を入手でき,無甘味メロンのズーボアは5品種入手できた.いずれも2016年度中に採取する目標数は達成でき,スペアミントの発がん抑制成分の化学分析による含有量の順位付けをおこない,目的とする高機能性系統が見いだされつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はスペアミントについて下記1-7班を構成して重点的に研究する. <1班:スペアミントの伝統品種収集班(フィールド調査)>ベトナム北東部の少数民族の居住地でスペアミントの植物体を収集する.<2班:発がん抑制効果試験班>確立したスペアミントに含まれるpiperitenone oxide (PO)の定量方法でPO含有順に序列化する.POのラセミ体を化学合成し,ヒト大腸がん細胞試験でわかっている発がん抑制作用を動物試験で証明する.<3班:スペアミントの植物遺伝学的な差異検討班>スペアミントの類縁種分類を遺伝子マーカーをもとにおこない,遺伝子系統樹と優良品種との相関,民族間・支族間の地理的隔離距離との相関の有無を明らかにする.<4班:スペアミントの植物形態学的な特徴検討班>PO型ミントとCarvone型ミント(C型ミント)の形態学的な特徴の有無を検討し,葉面のトライコームの形態とC貯蔵型とPO貯蔵型の傾向を見いだす.<5班:スペアミントの植物生理学的な特性検討班>日本の四季を想定した日長感応性と,特に冬を想定した低温環境下での栽培可能性を検討し,植物生理学的に日本で栽培可能な条件を明らかにする.<6班:スペアミントの植物病理学的な耐性検討班>POとCの植物病理学的な機能差(抗菌性・抗かび性・抗ウィルス性等)を明らかとする.四季のある日本でスペアミントを栽培するにあたって,感染する可能性のある植物病原菌の接種試験から耐病性スペクトルを検討し,植物病理学的に日本での栽培可能性や条件を明らかにする .<7班:スペアミントの農業経営学的な普及可能性検討班>スペアミントのベトナムでの栽培状況(種子保存状況・栽培履歴・育種特性・品種特性・利用方法)から得た生産性(収穫日数・収穫量・易栽培性)の情報を考慮に入れ,日本に普及させたときには生産者の収益が得られて持続可能な供給ができる条件を特定する.
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Research Products
(6 results)