2016 Fiscal Year Annual Research Report
Governance of Development in Metropolitan Southeast Asia and the Transformation of State Role
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15H05143
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 正明 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (90372549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊賀 司 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 特別研究員(PD) (00608185)
本名 純 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (10330010)
相沢 伸広 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (10432080)
見市 建 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (10457749)
新井 健一郎 亜細亜大学, 都市創造学部, 准教授 (70548354)
渡邉 暁子 文教大学, 国際学部, 講師 (70553684)
日下 渉 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (80536590)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域研究 / 東南アジア / 地方政治 / 都市開発 / 首都圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、予定では6月と8月にバンコクとクアラルンプールで合同調査の予定であった。しかし、6月頃は、タイにおける国王の健康問題もあり、政情が不安定だったため、政府関係者とのインタビューが困難と判断し、年度内での延期を考えたが、国王が10月に崩御したため、平成29年度に合同調査の延期を決定した。クアラルンプールについては、10月下旬に合同調査を実施した。また、9月には台湾の東南アジア学会において、ジャカルタ首都圏の政治についての分科会を設けて発表を行った。国内では、4月に首都政治に極めて重要な意味を持つイスラームとメディアについての研究会、6月にマレーシア都市部の住宅政策に関する研究会を行った。くわえて、2017年2月にクアラルンプールに関連する研究会、3月に都市政治に決定的に重要なオープン・ガバメントに関する研究会に代表者や分担者が企画・参加・発表した。具体的な研究内容での進展は、何よりもクアラルンプールの開発における国家の役割についての理解が進んだことである。当初の仮説においては、首都圏の再開発、外延の開発の両面において国家の役割が顕著だと想定していた。しかし、実態としては、連邦政府直轄のクアラルンプール市においても、連邦政府というより、与党連合BNが影響力を持ち、同市以外の首都圏においては、州政府が土地について権限を持つことから、必ずしも連邦政府が望む開発が進むわけではない。ましてや、野党勢力が州の政権を握っている場合には、連邦政府の役割は制度的には限られてくることから、連邦政府は予算措置などを通じて首都圏にある州の開発に関与するほかない。つまり、マレーシアでは、連邦政府が州に憲法的に与えられた権限を換骨奪胎する形で首都圏開発をする動きが見られ、EU諸国とは対照的な例となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タイの政情不安、更には2016年10月の国王崩御という事態があったため、本年度予定していたタイでの合同調査が実施できなかった。そのため、予定に遅れが生じた。ただし、代表者が2017年1月から3ヶ月ほど、タイの首都バンコクに駐在し、来年度の調査のための事前準備を行うことができた。一方、マレーシアのクアラルンプールでの合同調査については、予定より遅れたものの、10月に実施することができ、これまでのマレーシア研究では看過されてきた首都圏での土地開発のポリティクスに関する実態、とりわけ、都市部での野党勢力拡張後のポリティクスの実態が明らかになり、極めて有意義であった。与党連合BNが連邦政府をコントロールする一方、首都圏の州レベルでは野党連合が政権を握るというねじれ現象が起きた結果、土地開発をめぐる地方政治に大きな変容が起きていることがわかった。 成果の公表という点では、9月に台湾の東南アジア学会で研究代表者、分担者、インドネシアの研究協力者の合計四名が分科会で発表をすることができた。また、関連する研究会でも代表者や分担者が発表を国内外で行ってきており、順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2017年度は、大きく分けて3つの活動を考えている。まず、2016年度に実施できなかったバンコクでの合同調査の実施である。今のところ、10月に実施する予定である。また、研究成果を公表するために、バンコクでの合同調査後にチュラロンコーン大学において国際ワークショップを開催する予定である。また、11月には、インドネシア科学院(LIPI)にて、同様の国際ワークショップを開催して暫定的な成果報告をする予定である。国内では、12月に開催される東南アジア学会で分科会を設ける予定である。 三つ目は、こうした一連の発表で準備したペーパーを元に学会誌に首都圏政治の投稿論文を書き上げたい。12月か2018年1月にそのペーパーを持ち寄り、最終成果としての投稿論文を仕上げ、学術誌の特集号にしていくことを考えている。また、同時並行的に首都圏開発に関するアクターに関するデータ・ベースづくりに努める。
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Research Products
(21 results)