2015 Fiscal Year Annual Research Report
Collaborative Research with NGO with a view to improve reproductive health of villages in South Asia
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15H05170
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
松岡 悦子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (10183948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 晴久 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (20713051)
青木 美紗 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (50721594)
五味 麻美 川崎市立看護短期大学, なし, 講師 (70510246)
嶋澤 恭子 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (90381920)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バングラデシュ / 母子保健 / NGO / リプロダクティブ・ヘルス / 出産 / マイクロクレジット / エンパワメント |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年9月に調査地のRajoir村およびKhalia村において、GUPの職員の案内で、健康支援プロジェクト、マイクロクレジット、妊婦や母親への聞き取り、農業を含む生業、タナ病院での調査を行った。明らかになったことは、海外出稼ぎによる家の新築、夫の不在、市場の拡大が生じ、牛の飼育が減り、モーター付きのバン(荷車)が増え、村が大きく変化しつつあることだ。また、妊婦、母親、TBAへの聞き取りから、病院への搬送、クリニックでの超音波検査、タナ病院での妊婦健診と出産が増え、医療化が大きく進みつつあることがわかった。 H27年の後半に予定されていた現地調査が、バングラデシュでの事件のため困難となり、H28年9月15-18日に、バングラデシュから2人の研究者と調査地にあるNGOから3人の職員を招聘し、研究会を開催した。Rajoirタナ病院の最新のデータによれば、年間146件の出産のうち4件が死産、帝王切開が55件(38%)と非常に高率であることがわかった。 2人の文化人類学者から、彼らの調査経験、トピックス、調査手法、調査結果、調査実績について聞き、2人に現地での調査を依頼することとした。2つの村(gram)の全世帯(およそ500世帯を予定)を対象に、世帯の構成員、年齢、職業、家畜、電気製品の保有、マイクロクレジットの利用状況、母子保健状況、女性の時間利用、移動状況に関する質問紙調査を行うことにした。その結果、RajoirとKhalia の中で、世帯数や宗教の分布を考慮に入れてGobindapurと Khaliaの2つの村の全世帯を調査対象とすることにした。日本側の研究者が作ってあった5種の調査票(A B C D E)を検討し、質問項目に関してバングラデシュ側と打ち合わせ、質問票を確定し、調査期間、調査方法などについて合意を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H27年度に発生したバングラデシュでの一連の事件のために渡航が制限され、村落部での現地調査を行うことがむずかしくなった。そのためH27年度予算を繰り越し、日本でNGOの職員との研究会を行い、現地調査を依頼する人類学者とともに調査計画を立てた。 調査内容は、科研の当初の目的と計画に沿ったものだが、実際に現地に行って観察と聞き取りを行うことができないために、量的な調査にならざるを得なかった。ただ、バングラデシュの調査者による質問紙調査となったことで、地域の生活を総合的に数字を用いて明らかにすることができることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
質問紙による大規模な調査計画を立て、現地調査者にデータ収集を依頼した。調査には、英語の質問紙のベンガル語への翻訳、調査助手の指導、現地での質問紙調査、データ入力が含まれ、この全行程に5か月間を見込んでいる。さらに、調査とデータ入力が終了した時点で、再度日本で研究会を開き、現地での調査状況、調査時の特記事項、質問項目の回答状況、データ入力の方法、分析方法などについて日本側と検討を行うことになった。 今後はそのデータを分析し、村の人々の生活状況とくにNGOとの関わりと母子保健に関する実態を把握した上で、ターゲットを絞った形で質的調査を行う予定である。
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Research Products
(15 results)