2016 Fiscal Year Annual Research Report
Collaborative Research with NGO with a view to improve reproductive health of villages in South Asia
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15H05170
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
松岡 悦子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (10183948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 晴久 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (20713051)
青木 美紗 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (50721594)
五味 麻美 川崎市立看護短期大学, なし, 講師 (70510246)
嶋澤 恭子 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (90381920)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リプロダクティブ・ヘルス / バングラデシュ / マイクロクレジット / NGO / 出産 |
Outline of Annual Research Achievements |
5種類の質問紙調査A,B,C,D,E をMadaripur県のGobindapur村の262世帯とKhalia 村の252世帯の合計514世帯について行った。各質問紙の内容は以下のとおりである。 A(世帯の構成員の年齢、学歴、職業、家畜、機器類の保有状況、NGOへの関わり、過去1か月間の外出状況)、B(マイクロクレジットへの参加、いつ、いくら借り、何にお金を用いたのか、返済状況、マイクロクレジットによって生活が楽になったか)、C(過去の出産経験と子ども数、出産場所、介助者、妊娠中の食事、タブー、産後の気分、産後の休息期間、産後の儀礼、授乳の状況、母乳の期間、避妊の利用状況と種類、副作用)、D(産後1か月以内の女性の病気、病気の治療方法、治療者)、E(女性の家事労働の種類、農作業の種類、1日の生活時間調査、過去1週間の外出状況、携帯の保持状況、NGO活動への参加による行動の変化) 調査結果:Gobindapur村では97%がムスリムだが、Khalia村は53%がムスリムでヒンズーが47%を占める。2つの村とも月収は全世帯の75%が2万タカ以下であり、約7割が何らかの形でNGOに関わっている。女性のほぼ90%が18歳以下で結婚しており、Gobindapur の方が13歳以下で結婚した割合が高い。産後の問題として、腹痛、めまい、頭痛を訴える女性が多い。女性の6-7割が携帯を持っており、NGOへの参加によって行動範囲が広がったと答えた人が7-8割に上り、時間的により忙しくなったと答えた人が9割に上る。 地域の人々の7割がNGO活動に参加し、それが女性の行動範囲や外出頻度に大きな影響を与えていることがわかる。NGOが母子保健の面に与える影響については、質問紙のさらなる分析が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バングラデシュに渡航して現地調査ができなかったために、現地の人類学者とNGOの職員を日本に招へいして研究会を持ち、研究計画を共同で立案した。質問紙A,B,C,D,Eを用いた調査を依頼し、その結果をもとに再度日本にNGOの職員と調査者を招聘して研究会をもった。 514世帯に関するかなり詳しいデータを収集することができ、量的な調査としては充実した結果が得られた。しかし量的な調査には限界があり、具体的な行動や人々の見方、価値観については質的な調査で補わなければならないところが多々ある。また、H28年度の調査データのおおまかな集計は行ったが、まだ詳しい分析についてはH29年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度には今回の調査データの詳しい分析を行い、2つの村落の全体像をより明確にすることをめざす。その際に、リプロダクティブ・ヘルスの状況、女性の行動範囲、NGOの影響力、携帯などの保有状況と女性の空間移動の様相を明らかにする。また、リプロダクティブ・ヘルスの改善を目指すためには、まず問題状況を把握する必要があるが、数字には表れてこない細かい問題や女性の経験については質的調査を行う必要がある。タナの公立病院において、帝王切開率が38%と高いことは大きな問題であるが、病院への搬送時期、搬送理由、帝王切開の理由などの細かいことについて、さらに調査が必要である。 また、今回の質問紙調査でGPSをつけることに同意してくれた人々に対して、GPSの装着による調査を依頼する予定である。 バングラデシュに渡航しての村落調査ができない場合は、ダッカのGUP事務所で研究会を開き、質的調査の計画とGPSの装着を依頼する予定である。
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Research Products
(14 results)