2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H05176
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
四本 健二 神戸大学, その他の研究科, 教授 (00329848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 美紀 (寺尾美紀) 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10379224)
桑原 尚子 福山市立大学, 都市教養学部, 准教授 (10611361)
岩瀬 真央美 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (20360331)
服部 美奈 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30298442)
浅野 宜之 関西大学, 政経学部, 教授 (50321097)
西澤 希久男 関西大学, 政経学部, 教授 (50390290)
中村 真咲 名古屋経済大学, 経営学部, 准教授 (50402392)
島田 弦 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (80410851)
瀬戸 裕之 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90511220) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 基礎法学 |
Outline of Annual Research Achievements |
「法整備支援重点対象国における法学教育」研究の1年目に当たる平成27年度には、研究会を2回開催した。 第1回研究会においては、法整備支援そのものに対する認識を共有する必要から、研究代表者から研究対象国における法整備支援の背景と動向について報告し、その後各研究分担者との意見交換を行った。すなわち、1990年代末に本格的に開始された我が国のODA による法整備支援は、支援対象国によって多少事情が異なるものの、時系列的には概ね第1に民事、経済分野の基本法の起草支援、第2にそれに付随する法令の起草支援及び制度設計、第3に法令や新制度を運用するためのガイドライン等の整備、第4に立法及び法令の執行に資する人材の養成という展開を辿ってきたことを報告した。また、いずれの国においても法学教育についての調査研究は充分に実施されていないことから、本研究の国際的、先駆的意義を確認した。 第2回研究会においては、研究対象国における法学教育の分析視角について議論した。すなわち、教育学を専門とする研究分担者から研究対象国の法学部関係者から事実確認のための情報収集(学制、カリキュラム、卒業要件、取得可能な資格、教員採用の手続と要件、留学制度など)を前提として、定性的調査によって司法関係者からは法整備支援を受けるにあたって必要とされる知識と実際に教授されている知識のギャップ、支援側の専門家からはカウンター・パートに感じた知識の不足や視点の違い、カリキュラムに盛り込んで欲しい科目や内容、教員についての意見の対照評価、法学生からは学びたかったことと学べたことのギャップ、役に立った講義とそうでなかった講義などについて選択式回答によるサンプル調査を通じて現実の法学教育とニーズのギャップを明らかにするという分析の視角と方法が提起され、次回の研究会までにそれぞれの研究分担者が検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「法整備支援重点対象国における法学教育」研究の1年目に当たる平成27年度には、研究分担者がそれぞれ担当する法整備支援重点対象国における法分野あるいは教育分野の論文を発表したほか、国内外の学会への参加や現地調査を通じて、この研究課題に本格的に着手するための前提となるような人的交流とネットワーク作りを行った。 個別的には、カンボジアについて教育省と神戸大学の間で「覚え書き」が締結され、今後の連携が公式に確認された。とりわけ、先方教育大臣からは本研究課題に関わる調査に教育省として協力する旨の申し出が得られた。また、タイについては四本がバンコクを訪問した機会にタマサート大学法学部の教員に面会し、本研究課題への協力を要請し、西澤は主要な法学教育機関であるタマサート大学及びチュラロンコーン大学法学部並びに行政発展学院を訪問し、人的交流を深めるとともに予備的調査に着手した。また、浅野はマレーシアを訪問した機会に、マラヤ大学法学部を訪問し、インド及びバングラデシュと同様にコモン・ローを継受している旧イギリス植民地の大学における法学教育についての理解を深めた。ラオスについて乾は、大学教育の前段階に当たる初等中等教育の実態について少数民族に着目した調査を実施した。桑原は、アジア諸国において法整備支援の効果を含めて法の変動についての研究成果を発表したほか、ウズベキスタンを含む中央アジアの旧共産主義国における法と法制度の変動についてアメリカ法社会学会で口頭発表を行った。中村はモンゴル国立大学法学部および国立法律研究所において現地調査に着手した。岩瀬は2度にわたってハノイ法科大学を訪問した。 なお、瀬戸は、本務校における勤務の都合で研究を継続することが困難になったために、将来研究分担者に追加する可能性を留保しつつ、研究分担者から外した。
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Strategy for Future Research Activity |
「法整備支援重点対象国における法学教育」研究の2年目に当たる平成28年度には、研究会を3回開催する予定である。第1回の研究会においては、前年度から着手した大学における法学教育の実態調査の方法論を確立するために、法学研究と教育学研究の双方の立場から議論を深める予定である。また、第2回研究会は、研究分担者による現地調査実施後に行うこととし、今年度の調査で得られた情報及び知見を共有するとともに、実地の調査によって明らかとなった法学教育上の問題点及び研究方法論上の課題について検討する予定である。同時に、長年発展途上国の教育開発に従事してきたアメリカ人コンサルタントが神戸大学に来学する可能性があるので、実現した際には教育開発専門家としての意見を聞き、本課題研究の参考にしたい。さらに、第3回研究会を年度末に行い、進捗状況の確認及び次年度に向けた研究計画について検討することを予定している。 また、今年度は、研究対象国への現地調査に着手する。それぞれの研究分担者の都合及び調査対象大学等の都合を勘案する必要があるが、概ね8月から9月にかけて研究分担者が現地での聞き取り調査及び資料や教材の収集にあたる予定である。加えて、JICA、国際民商事センター、名古屋大学、国連アジア極東犯罪防止研修所などこれまで法整備支援に関わってきた国内の関係機関において収集・所蔵されている研究対象国の法学教育関係資料を調査する機会を設けたい。 なお、瀬戸は、本務校における勤務の都合で研究を継続することが困難になったために、将来研究分担者に追加する可能性を留保しつつ、研究分担者から外した。しかしながら同氏が担当する予定であったラオスに関しては、乾が充分な知見、経験、人脈を有することから、研究の継続に支障をきたす恐れはない。
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Research Products
(10 results)