2016 Fiscal Year Annual Research Report
EPA送り手国と受入国の看取りケアの比較 アジア日本型看取り学の構築に向けて
Project/Area Number |
15H05195
|
Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
後藤 真澄 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (70301710)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 章允 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (40027503)
伊藤 奈奈 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 助手 (40751764)
片桐 史恵 中部学院大学, 人間福祉学部, 教授 (50511987)
森田 直子 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (80434520)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | EPA / 終末期ケア / 看護師 / 看取り / インドネシア / フィリピン / ベトナム / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、EPAの送り手国(フィリピン、インドネシア、ベトナム)の看護師や介護士の看取りケアの現状を調査し、①各国の看取り文化についての理解を深め、②看取り文化の違いを踏まえた看取り教育手法を開発し、③アジアの精神性を生かした国際社会に対応する「看取り学」の構築を目指すことである。 昨年度の目的は、1各国の看護師、介護士の看取りケアに関する意識及び死生観、看取り観の比較、2EPA送り手国の看取りケアや教育の現状をフィールドワークにて捉えることを中心に研究を行った。その中でも重点的に行ったことは,日本のEPA(Economic Partnership Agreement)送り手国と受入国の看取り観の比較研究であり、看取り観に関連する要因を明らかにする研究を行ったことである。本研究の概念枠組みは、文化ケアの多様性と普遍性を描画するマデリン M.レイニンガー(1991)/ 稲岡(1995)の看護理論に基づき、国や文化の差異から異なる看取り観があると考える。また、先行研究から看取り観は、死生観が関連することから、本研究では、A.国籍,B.個人の属性と社会文化的特性、C.死生観を要因として、D.看取り観の関連を検証した。その方法としては、2008年から2014年に派遣された候補者受入施設一覧(厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部資料)をもとに、受け入れ先411施設(全数)とした。入国当時の受け入れ人数(2847人)とその候補者の直接的な指導にあたる指導者1名分(411人)を合わせて(合計3258人)、受け入れ機関の所属長宛てに、研究説明書と質問紙を郵送した。質問紙は無記名自記入式質問紙(母国語)とし、回収は研究機関に返送する郵送法を用いた。その結果を、まとめ、現在、研究論文として投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各国の調査は、おおよそ終了したが、フィリピンのみ国内情勢が不安定であったため、訪問が思うようにできず、研究の進行が遅れている。そのため、今年度はフィリピンの調査を終了し、各国の看取り観、死生観及び看取り教育についての比較検討とまとめを行う予定である。 日本のEPA及びその指導者との看取り観の比較においては、看取り観に関連する要因は、「死にゆく患者へのケアの前向きさ」に関しては国籍による差異はなく、経験を積み重ね、死を回避せず、前向きに捉え、人生の目的意識を高める死生観を持つことで、看取りケアが出来るようになっていく。しかし、「患者、家族を中心とするケアの認識」に関しては、フィリピンが有意に高く、日本が有意に低く、国籍による差異があった(p<.05)ことが明らかにされた。 この調査に加えて、さらにインタビューによる候補者とその指導者の語りによる調査も行い、研修等の関連についても調べている。また同様に、送り手国の看護師の看取り観に関する調査も並行して行っており、候補者と送り手国看護師との看取り観の差異や関連する要因について明らかにできるようにする。さらに、今回用いた変数以外の要因や異文化適応についても検討していきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、EPA送り手国(フィリピン、インドネシア、ベトナム)と受け入れ国(日本)の看護教育カリキュラムの特徴と差異に関する文献研究をまとめ、そして、異文化間ケアとしてのエンドオブライフ・ケアに関する検討をまとめており、現在投稿中である。 今後は、現地調査をもとに各国の看取りケアの現状と看取り観についての不足分の量的調査の遂行を行い、各国の看取りの教育の現状と看取りケアの実態と看取り観の量的調査をすべて終了し、各国のまとめを行うこと。そしてそれらの国の比較研究をする予定である。
|
Research Products
(1 results)