2017 Fiscal Year Annual Research Report
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15H05196
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 嘉恵 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20322779)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 先住民族 / 植民地 / 台湾 / 宣教師 / 教化 / 東アジア / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の「研究実施計画」に従い、資料の収集・整理・読解、悉皆的な書誌データ目録の作成(文書の表題、作成者/発信者・受信者、作成年月日、キーワードなど)、重要資料のテキストデータ化を進めた。主要な進捗事項は以下のとおりである。 カナダ長老教会およびカナダ合同教会の文書館やノックス大学図書館等において、19世紀後半から20世紀後半における、カナダ長老教会の年次総会議事録や同教会女性宣教協会の年次報告書、定期刊行物("The Message" "Foreign Missionary Tidings"等)の系統的な閲覧、台湾へ派遣された宣教師たちの経歴や関連資料の調査・収集を進めた。この中で、カナダ国内の先住民・移民に対する伝道活動と海外宣教活動との連関に着目する重要性が確かめられ、教会全体の組織・財源の編成や国内外を通じた情報・認識の回流のありように視野を広げて調査・読解を進めつつある。 トロント大学マンク国際問題研究所主催の連続公開講座“Questions of Indigeneity in the Asian-Pacific”(2017年9月~2018年4月)に参加し、台湾先住民族の歴史経験・歴史記憶に関して研究報告を行うとともに、アジア太平洋地域(ハワイ、フィリピン、インドネシア、台湾、中国、日本、カナダ、アメリカ合衆国、等)における「先住民族性」をめぐる歴史と現在の動向について理論および個別事例の両面から議論を重ねた。領域横断的な討議を通じて、19世紀から21世紀を通じて地球規模で展開してきた植民地主義の連鎖の様態とともに、現代にまで継続する「先住民族性」の構築・再構築のプロセスを環アジア・太平洋という広域的な視座から捉える重要性とその課題が示された。 調査研究の成果の一部は日本語の学術論文として公刊するとともに、英文・中文での出版を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度後期から勤務校のサバティカル研修を利用してカナダに長期滞在が可能となり、トロントでの資料調査およびフィールド調査を集中的に進めつつある。調査対象機関・地域に関しては当初の予定から実施時期および重点に若干の変動が生じているものの、研究目的および計画に沿っておおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究計画に即して進める見込みである。引き続き北米での調査を重点的に進めるほか、台湾での補足調査、書誌情報のデータベース化および学術論文のとりまとめを進める。
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Research Products
(6 results)