2015 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア及びCIS諸国における教育改革と教師教育の現代化に関する総合的調査研究
Project/Area Number |
15H05198
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
嶺井 明子 筑波大学, 人間系, 教授 (80209840)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 正吾 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30203368)
Tastanbekova Kua 筑波大学, 人間系, 助教 (30726021)
澤野 由紀子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (40280515)
大谷 実 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50241758)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 教育改革 / 教師教育改革 / 新学力観 / ロシア / CIS諸国 |
Outline of Annual Research Achievements |
教育改革と教員の養成・研修は相互に関連した教育の最重要課題である。本研究では、過去25 年間に体制転換に伴う大きな変化を経験した旧ソビエト諸国の教育改革と教員養成・研修との関連に焦点を当て、両者の間隙をいかに埋めれば教育改革が効果的となるかを考察する。そこで初年度に当たる平成27年度には、関係資料の収集・翻訳、及び現地調査を行った。初年度前半においては文献調査により、1980 年代後半からの教育と教師教育の改革の背景と経緯を明らかにした。後半はこれを踏まえ、ロシア連邦のモスクワ市とサンクトペテルブルク市、キルギス共和国のビシケク市、カザフスタン共和国のアルマトイ市において現地調査を行った。9月及び10月のモスクワ調査では、教師教育改革を主導しているモスクワ市立心理・教育大学、高等経済大学教育研究所、モスクワ市立教育大学、モスクワ国立教育大学、モスクワ国立大学、ロシア連邦国会下院などを訪問し、関係者にヒアリングを行った。2月のモスクワ市の調査は、近年の学力観変容に対応した教員養成・研修制度改革の実態について明らかにするため、ロシア連邦教育科学省、モスクワ市教育庁、ロシア国立人文大学ヴィゴツキー記念心理学インスチトゥートなどを訪問し、関係者にヒアリングを行った。3月初旬~中旬のキルギス共和国ビシケク市、カザフスタン共和国アルマトイ市の教育行政機関、教育大学と学校を訪問し、関係者にヒアリングを行った。3月下旬のサンクトペテルブルク市の調査では、サンクトペテルブルク・ディプロマ後教師教育アカデミー、ロシア国立教育大学などを訪問し、関係者にヒアリングを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに構築してきたロシア及びCIS諸国の研究者とのネットワークを活用した結果、現地調査の訪問機関の手配、ヒアリングのアポイントメント、資料収集に当たって便宜供与をいただいた。具体的には、9月のモスクワ市調査のさいに、ロシアの教育改革・教師改革を主導する研究者(モスクワ国立教育大学学長セミョーノフ氏、モスクワ市立教育大学学長レモレンコ氏、連邦教育発展研究所所長アスモロフ氏など)にヒアリングを行うことができた。とりわけ、レモレンコ氏は、本科研の趣旨を理解し、教師教育改革の先導的試行を行っている大学関係者をロシア全国から集め、シンポジウムを開催してくれた。また、カザフスタンでは、筑波大学の交流協定校であるカザフ国立教育大学の教育・心理学学部が中心となって、教師教育改革に関するラウンドテーブルを開催してくれた。 これらを通して、多くの研究者との意見交換、資料収集を行うことができ、本科研の1年目の計画を順調に遂行することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、ロシア及びCIS諸国の現行の教育改革の骨格となる政策文書及び関連する研究論文・資料の収集と分析を行う。政策文書の分析に基づき、調査国目を確定し、モスクワ市及び連邦構成主体の教育行政機関、研究機関、教育機関を訪問し、現地調査を行う。 現地調査では本研究が設定している4つの課題のそれぞれの担当者が、新しい学力観に対応した教育改革と教師教育改革ー教員養成制度・内容、教員研修制度・内容、校外教育、教科教育(数学)-に焦点を当てて、教育行政関係者、研修者、学校や校外教育施設の教職員へのインタビューを行う。この過程でライフストリー調査を行う。 今年度の調査を通して得られた成果について、公開報告会(筑波大学、3月)を開催する。なお、昨年度の成果の公開報告を6月の日本日か教育学会第52回大会(大阪大学)、8月の世界比較教育学会第16回大会(北京師範大学)、9月の学習社会学会第13回大会(日本女子大学)で行う。
|