2016 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯モンスーン大河川の氾濫原干拓が周辺環境に及ぼす影響評価
Project/Area Number |
15H05218
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
風間 聡 東北大学, 工学研究科, 教授 (50272018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 大輔 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (50622627)
久保 成隆 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40134506)
飯田 俊彰 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30193139)
増本 隆夫 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究領域長 (80165729)
吉田 武郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 主任研究員 (80414449)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 氾濫原 / 干拓 / 水質 / 環境 / 肥沃化 |
Outline of Annual Research Achievements |
MNDWI,NDVI,NDSIの各正規化指標を用いて,衛星解析による干拓地の抽出を行った.Landsat画像から目視抽出した52地点中,49地点の干拓地,95%を抽出することが出来た.対象地域の各コミューン内の干拓地の有無を目的変数,プノンペン中心部からの直線距離,人口,年氾濫期間,年最大水深を説明変数とした結果,重相関係数は0.34であった.氾濫原の水質について現地調査を行った.廃棄物の埋め立てが行われる氾濫原では,干拓無しの氾濫原と比較して約25倍の全リン値,下水汚水基準値の約4倍のCODを記録した.埋め立て後工場地として利用される氾濫原では他と比較して鉄の値が非常に大きく,工場地の一つではWHO水質基準値の約21倍を記録した.洪水氾濫モデルを用いて年氾濫期間を求め,年氾濫期間と純一次生産力,土地被覆との関係を明らかにした.2000年~2013年のメコン河年最大水位を用いた結果,年氾濫期間が2ヶ月大きくなると,水田・畑の割合は約1割減少することが示された.純一次生産力の年最大値は年氾濫期間が7.5ヶ月となる地点でピークを示し,2.0 gC/m2/dayとなる.現在自然植生に分類される土地が水田・畑に開拓された場合,年間約134gC/m2の純一次生産量が失われることとなる.純一次生産力の年変動は,周期的な洪水氾濫の年変動に関係することが示された.更に,氾濫原端部における純一次生産力とメコン河の年最大水位には正の相関があり,年最大水位が1m変化すると,純一次生産力は平均で約0.28 gC/m2/day変化することが示された.現地調査により,カンボジアのメコン川およびトンレサップ湖氾濫原に展開するタムノップ型灌漑システムを対象に減水稲の栽培実態を明らかにした.また,水収支解析を行うことにより栽培期間,灌漑面積,用水充足率などを評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
干拓の洪水のリスクと水質について知見をすでに得ることができた.特に干拓開発予測モデルは当初の想定以上にうまくいくこととなった.
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Strategy for Future Research Activity |
水産資源の関係ならびに渇水時の水質について考察する.
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Research Products
(9 results)