2015 Fiscal Year Annual Research Report
ネパールの世界遺産都市における生活空間と都市型住居の保全に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
15H05225
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
山本 直彦 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (50368007)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ネパール / バクタプル / ネパールゴルカ地震 / 都市型住居 / 都市組織 / 外観意匠 / 生活空間保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27 年度は、計画初年度で、意匠・景観調査、生活空間調査、礼拝・儀礼調査、都市型住宅調査の全4チームで基礎知識を共有するため次の2つの共同調査を行った。 1)「広場・オープンスペースの生活施設分布図」すでに旧市街全体について作成済みである1/1000の地積図をベースとした「公共空間の連続図」に、調査地域全体の休屋、水場、ガネーシャ寺院の位置を記録した。 2)「都市型住居の平面類型分布図」クシャトラパラあるいはピカラキ-と呼ばれる屋敷神の持ち方が、都市型住居間で共有か個別か、また、住居の位置が、街路沿い・路地入り口・路地内のどこに位置するかの二軸でマトリックスを作成し、まず、都市型住居の分類を試みた。併せて街路沿い、路地内・路地入り口の屋敷神の位置を現地調査で確認した。 以上に加えて、課題採択後に発生した2015年ネパールゴルカ地震による被災状況について、調査対象地区を中心にバクタプル東部で悉皆調査を行い、建物ごとの被災度の分類を行った。さらに復興に当たっての都市型住宅の再建や修景が問題となることが予想されたため、景観調査について次年度以降のテーマを先取りし、都市型住居の外観意匠調査シートの作成を試みた。比較的、被害の少なかった旧市街の広場回りや主要街道で作成した外観調査シートを実際に使用して、その改善について検討するとともに、世界遺産モニュメントゾーン内外の一部についてデータ収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の採択決定後、2015年4月にネパールゴルカ地震が発生し、研究対象地のバクタプルの一部も被害を受けた。これに対応するために、研究協力者として建築構造が専門の研究者を調査メンバーに追加した。地震発生を受けて、都市型住居の再建・修景が必要となることを背景に、一部、次年度の研究テーマを先取りし、都市型住居の外観意匠調査に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年のネパールゴルカ地震被害を受けて、平成27年度に現地調査に参加要請した建築構造の研究者に、平成28年度は、研究分担者として参加要請し了承を得た。これにより、本課題の研究テーマの軸のひとつで世界文化遺産の景観保全的アプローチに追加して、復興・地震対策の検討を加える計画である。研究分担者として参加している景観保全担当の研究者は、平成28年度以降、歴史的町並みの復興方針を新たな研究テーマとして加える予定である。
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Research Products
(3 results)