2016 Fiscal Year Annual Research Report
ネパールの世界遺産都市における生活空間と都市型住居の保全に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
15H05225
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
山本 直彦 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (50368007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増井 正哉 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (40190350)
向井 洋一 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (70252616)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ネパール / バクタプル / ネパールゴルカ地震 / 都市型住居 / 都市組織 / 外観意匠 / 生活空間保全 / 景観保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、9月下旬から10月中旬にかけて、一ヶ月間、バクタプルでの現地調査を実施した。新たに加えた地震被害チームを加えて、以下の4チームで調査実施したが、その内容は次のようである。 ①意匠・景観調査チーム:世界遺産登録地区内外の連続立面図の作成と外観意匠調査。②生活空間調査チーム:トーラチェン地区での各種コミュニティ範囲の聞き取り、および下記の都市型住居調査チームが実測した住居での家族構成の聞き取り。③都市型住居調査チーム:トーラチェン地区での住居平面類型調査およびジェラ通りでの住宅実測。④地震被害チーム:半倒壊住居と被害を受けなかった住居での常時微振動計測。 特に②と③の調査結果から、都市形成過程を読み解く仮説が得られた。仮説が正しければ、主要な街路の両側の住宅は、建設時期や住宅平面が異なり、これは街路両側の景観が異なることにつながる可能性があることが分かった。現在、①の調査結果を用いて街路景観の詳細な検証作業を行っている。④の調査結果からは、半倒壊した住居と被害を受けなかった住居では、異なる振動特性が得られたため、現在、その原因を検証中である。 また、H27年度の調査結果をもとに、4月にInternational Conference on Earthquake Engineering and Post Disaster Reconstruction Planning ICEE-PDRP(Bhaktapur,Nepal)において3本の英語論文を発表した。邦文でも、日本建築学会大会と日本建築学会計画系論文集に研究発表欄の論文リストにある論文投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度の現地調査は、おおむね予定通りの成果が得られた。研究実績の概要に示したように、都市組織研究と景観保全研究を連続して考える視点が得られたため、研究全体としても一段階深化し各チームが議論を共有できる段階に達しており、順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、復興プロセスにおける都市型住居の再建・修景を念頭において、①都市型住居の外観モデルを作成している。これを歴史的町並みの復興方針に取り入れて研究を進める。 H29年度の現地調査では、以上の①外観モデル作成に必要なデータ収集を行うことに加えて、②都市形成過程の仮説からみた街路両側の景観の違いを説明する調査手法の検討も重要な調査視点・内容と考えている。また、①については、モデル作成の際に、都市型住居の外観意匠要素の典型的な組み合わせパターンを統計的に割り出す必要がある。そのため、統計処理と処理プログラミングを行える研究者を新たに研究分担者として加える。
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Research Products
(10 results)