2015 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア都市低所得者層のための住民目線に立つ身の丈住宅供給
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15H05226
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小倉 暢之 琉球大学, 工学部, 教授 (30117569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 徹 琉球大学, 工学部, 准教授 (50369386)
金城 春野 琉球大学, 工学部, 助教 (90739624)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 都市計画・建築計画 / 開発計画 / 持続可能性 / コミュニティ・ハウジング / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究初年度であり、今後の研究協力体制の構築を重点的に行い、併せて関連資料の収集に努めた。特に協力体制の構築については、現地調査に必要な現地研究者と調査対象コミュニティ住宅の調査協力への信頼性確保に多くの労力を要したが、コンケン大学教官始め多くの現地関係者の協力により構築できた。コンケン大学建築学部はコンケン地方のCOEとして多くの開発プロジェクトに関わっており、本研究が対象とする住宅計画に関しても重要な役割を果たしている事から本研究を通した研究ネットワークの拡大は大きな成果の一つである。 調査対象の抽出については、当初、バンコクとコンケンの二カ所を予定していたが、本年度行った予備調査ではコンケンの住宅プロジェクトにおいて良好な調査環境が確保された事と、両者とも同じ国家住宅供給計画の基に建設されたバンマンコン・プロジェクトである事、さらには、8月の2度にわたるバンコクでの爆破テロ事件により安全性確保の点からも、タイ東北部のコンケンを主体とする研究の方法論を検討し、今回はコンケンのバンマンコン・プロジェクトの中でも成功例とされるタワンマイ・コミュニティに焦点を当てて聞き取り調査を行った。 調査を行ったタワンマイ・コミュニティは145戸の集合住宅で、多くが二階建て連棟形式で建てられており、コミュニティリーダーを中心に組織的な運営が行われている。本年度の調査では、組織運営の構成員、特に政府機関のコミュニティ組織開発機構(CODI)の関与、融資知識の普及方法、さらに、コミュニティバンクの運用実態について聞き取りを行い、持続可能なコミュニティ開発に有効な融資制度運営と住居内生産活動の創出について成果をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備調査から調査対象をコンケンのプロジェクトに重点を置く事とし、バンマンコン・プロジェクトの成功例とされるタワンマイ・コミュニティを対象として聞き取り調査を行った。都市住宅低所得者層向け住宅改善計画における住民目線の重要性を探る上で、コミュニティリーダーとの良好な研究協力関係を構築できた点は今後の調査に大きな進展が期待できる。さらにコミュニティハウジングの計画に関わった地元コンケン大学教官との繋がりが出来た事も大きな成果といえる。 本研究の調査項目としてあげた、コミュニティの形成過程と運営、コミュニティ・バンクの運用、住宅計画と建設のプロセス、住民とタウンミーティング関係者の関わり方、そして住民の自助努力による生活空間の形成という5つの項目については本調査において概要を捉えることができた。現在この成果に基づいて項目毎に分析の進展を図っているところであり、次年度に順次成果を発表する準備を行っているが、五番目の項目についてはその一部を本年度の成果として学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も多岐にわたる現地調査項目をそれぞれ継続するが、当初計画との変更点は調査対象地としてバンコクとコンケンからコンケンを主重点に行う事にした点である。これは、首都の爆破テロ事件に伴い、調査活動の安全を確保するためであるが、両者ともプロジェクト内容は同質であり研究内容の本旨に関わる問題ではない。また、今年度の成果としてコンケンの現地調査に関する人的ネットワークの信頼性が高まった事と、同じ政府の住宅供給計画で建設された他の良好なサンプルも見出された事から同地での多様で詳細な調査を推進する。 また、現地で構築された新たな研究体制からは、当初計画していた住宅建設方式の分析について自助建設構法におけるプレハブ化の視点を得る事出来、現地研究者と共同でコストと品質を合わせた分析を予定している。これは、近年急速な開発によりタイ東北部のコンケンも首都バンコクとの物通が加速したためで、経済発展に伴う住民目線の住宅建設の在り方をダイナミックに捉えようとするものである。
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Research Products
(3 results)