2017 Fiscal Year Annual Research Report
南大洋の氷縁域におけるハダカイワシ仔魚の初期生活史と餌料環境動態
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15H05239
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
茂木 正人 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50330684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 邦夫 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (50413919)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ハダカイワシ科魚類 / 餌としてのデトリタス / ハダカイワシ仔魚の日齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)2018年1月に南大洋アデリーランド沖(東経110度トランゼクトとその周辺海域)において約2週間にわたり海洋観測を行った。プランクトン採集に使用したギアは鉛直多層式開閉ネット(VMPS)、ORIネット、ニスキン採水器などであった。本研究のメインターゲットであるハダカイワシ科魚類の仔魚の他、VMPSや二スキン採水器では、餌生物となる動物プランクトンの採集が行われた。 2)ハダカイワシ仔魚の消化管内容物について、昨年度までの分析結果からデトリタス(有機物塊)が一定量見出された。デトリタスは5から14 mmまでのすべてのサイズクラスの仔魚から見いだされた。一般的な仔魚の餌として知られる動物プランクトンは、このサイズ範囲において5%から23%に出現頻度が増大した。全体の比率においてデトリタスが餌として重要であることが示唆された。これらのデトリタスについて走査型電子顕微鏡による観察を行った結果、凝集体を構成していた珪藻片は不定形物や尾虫類のハウスの一部と考えられる構造物で結合していた。 3)仔魚のふ化日を逆算する目的で耳石から日齢を求める試みを行った。その結果、体長と日齢との関係に一次回帰式を得た。この結果は、体長から日齢を推定するのに役立つが現時点ではサンプル数が十分とはいえない。 4)ハダカイワシ類と同様、南極海で重要な中深層性魚類であるハダカエソの1種について仔魚の分布を調べた。ハダカエソ仔魚はハダカイワシと非常によく似た分布パターンを持つことが分かった。このことは、ハダカエソとハダカイワシが同じ水塊をナーサリーグラウンド(養育場)として利用していることを意味し、仔魚にとって共通かつ有利な要素を備えていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)海洋観測は予定通り実施され、研究を遂行するために必要な生物サンプルが得られている。 2)全体的にサンプルの解析が進んで、一定の学会発表を行った(国際学会1件を含む)。 3)胃内容物中のデトリタスについて解析が進んだが、論文発表に至っていない。 4)日齢の解析について結果を得たが、個体数が十分ではなく論文発表に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1)国内での学会(10月、12月)において、合計5~6件の発表を行う。国際学会(4月)には1件の発表を行う。 2)これまで得られたサンプルの解析をさらに進め、2018年度の投稿を目指す。 3)2019年1月に南極海アデリーランド沖(東経110度トランゼクトとその周辺海域)において海洋観測を実施する。ハダカイワシ仔魚の消化管内に見出されるデトリタスのDNA解析を行うためのサンプルを採集する。 4)耳石分析用のサンプルを採集する(特に体長15-30 mm)。このために大型のネットを使用する。 5)仔魚の胃内容物組成と合わせて、安定同位体比の分析により仔魚の食性分析を高精度化する計画であったが、学内の分析装置の故障により現在停止している。今年度学外の装置を借用し分析を進める計画である。
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[Journal Article] Plankton sampling by the training vessel Umitaka-maru in the Indian sector of the Southern Ocean in the austral summer of 2017.2018
Author(s)
Sakurai H, Moteki M, Mizobata K, Shimada K, Matsuno K, Ohkubo Y, Sano M, Nirazuka S, Yamamoto N, Takao S, Makabe R, Takahashi T K, Odate T.
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Journal Title
JARE Data Reports, National Institute for Polar Research
Volume: 363
Pages: 1-13
Open Access
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