2015 Fiscal Year Annual Research Report
食料生産と資源競合することなく農業者の所得向上に貢献できる工芸作物生産体系の確立
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15H05244
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 謙介 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80391431)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 薬用植物 / 生物多様性 / カウンターファクチュアル / 技術採用 / 所得効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
資源が逼迫している現在、食料生産と資源競合しない農業生産体系の確立が重要である。本研究では、そのために薬用植物の生産を例にとり、(1)厳密な圃場実験により、食物生産と資源競合を起こさずに農家の所得向上に貢献するための薬用植物の最適な栽培方法を導出するとともに、(2)導出された新技術が、どのような特徴を持った農家に対してどのくらい所得効果を持つのかについて、最sんのプログラム評価の手法を応用し正確に計測することを目的としたものである。 本年度はまず、現地でこれまでに記録した各薬用植物の生育環境と生育程度のデータを整理して、両者の関係性を見出すことに努めた。薬用植物が生育している地点の天球のパノラマ写真から全球の被覆率を計算する手法を開発し、現地の薬用植物生育場所の被覆率を計算し、陽性・陰性植物の判別の手がかりとした。生育程度と環境要因の関係については、重回帰分析を行った。これらは当初の目的の (1)薬用植物の最適な栽培方法を導出するための基礎知見となる。 また、12月3日から1月25日まで博士課程大学院生が現地で調査を行い、計52農家でのインタビュー調査を行いデータのデータベースへの入力を行った。また対象となる村落での住民登録台帳の入手・コピーを行い、カウンターファクチュアル(薬用植物栽培技術を採用している農家と比較するための、同技術は非採用だがその他の属性が近い農家)の選定を行った。これは、薬用植物の栽培という技術の採用にあたって有利な農家側の条件を洗い出すという、当初目的の(2)のために行った調査である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
工芸作物の栽培試験は、その妥当性の見直しから実施しなかったものの、現地における綿密な機器計測を用いた調査によって、生育環境と生育量の関係を解明し、目的は十分に果たした。 また農家調査についても、長期にわたる滞在型農家調査で、プロペンシティ・スコアを適用するためのカウンターファクチュアルの洗い出しを、厳密に科学的な方法で行うことができて、研究の進展に寄与した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、選抜したかカウンターファクチュアルとして、導入農家群の約3倍数の非採用農家のインタビュー調査を同様に実施し、採用農家と非採用農家の属性の違いを明らかにする。 また植物体の生育条件の研究については、未処理であった土壌の化学性、物理性の分析を行うとともに、重回帰分析を進め、条件の洗い出しを行う予定である。
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Research Products
(1 results)