2018 Fiscal Year Annual Research Report
Inventory study of sago resources in Asia and the Pacific
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15H05245
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
江原 宏 名古屋大学, アジア共創教育研究機構(農国), 教授 (10232969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 由貴夫 立教大学, 観光学部, 教授 (20197974)
内藤 整 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 教授 (40252902)
三島 隆 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (40314140)
板谷 明美 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (70447861)
内山 智裕 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80378322)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サゴヤシ / ソロモンサゴヤシ / バヌアツサゴヤシ / フィジーゾウゲヤシ / 成長速度 / 多様性 / 種子繁殖 / 胚珠 |
Outline of Annual Research Achievements |
ソロモン諸島のガダルカナル島において,ソロモン林業省の協力により,ホニアラ植物園と共同でサゴヤシ属植物の生態調査を実施した。ホニアラの東方に位置するBetikoko地区では,Abiaと呼ばれる有刺タイプサゴヤシ(Metroxylon sagu)を伐採調査した。幹長11.4m,幹直径45cm,樹冠葉長4.7m,花序長2.7mであり,M. saguとしては他国に分布しているサゴヤシ変種と比較しても十分に大きな樹体サイズであった。同島東部においては,その他に,サゴヤシの有刺,無刺の両タイプが混在する地域があり,また,別種のバヌアツサゴヤシ(M. warburgii:バヌアツ,フィジーのバヌアレブ島および離島のロトゥマ,サモアに分布する種)の生育も認められた。ホニアラから西方のKakabona地区では,Atoと呼ばれるソロモンサゴヤシ(M. salomonense)を伐採調査した。幹長3.8m,幹直径44cm,樹冠葉長3.8m,花序長6.8mと,樹高に占める花序の長さが際立って長かった。生育地は海岸の道路脇であり,また,葉を屋根葺材として用いるため,定期的に葉が採取されているものと見受けられた。葉痕間隔はサゴヤシが13cmであったのに対して,ソロモンサゴヤシでは21cmであったことから,幹の伸長速度はソロモンサゴヤシで早いことが窺われた。1島でサゴヤシ属植物3種が分布する例は他国・地域では認められない。種内の変異についてはさらに検討する必要があるが,本調査を通じて,ガダルカナル島においてはサゴヤシ属植物の種としての多様性が高いことが明らかになった。また,フィジー・ビチレブ島で採取したフィジーゾウゲヤシ(M. vitiense)の花序試料の観察結果から,種子繁殖で増殖する同種では,開花後に3つの胚珠のうち2つが退化し,1つのみが発育し,発芽力の高い果実を生じることが明確になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当研究グループでは,サゴ属資源のインベントリー研究推進のため,東南アジアからメラネシア,ポリネシア,ミクロネシアに分布するサゴヤシ属植物の生態,生理などに関する一連の科研調査を2002年から実施してきている。2015 年からの今期の海外学術調査では,サモアにおけるMetroxylon warburgii(バヌアツサゴヤシ)の栽培化の進展,同国に分布するM. paulcoxiiがM. warbrugiiのシノニムと考えられる系統学的根拠の提示ができた。また,ソロモン諸島のパプアニューギニア領域におけるソロモンサゴヤシの生態が初めて明らかになるとともに,2018年の調査によりソロモン諸島国の首都があるガダルカナル島でのサゴヤシ属植物種の多様性,さらには,サゴヤシ属Coelococcus節植物の繁殖特性の解明に向けた標本試料に基づく観察を行うことができた。サゴヤシ属植物の種分化を明らかにすることは長年の懸案であったが,今期の成果で大きく進展することだできた。また,栄養繁殖と種子繁殖の両方で増殖できるMetroxlon節のサゴヤシ(M. sagu)においても,実生による苗生産が期待されるものの,種子繁殖のみのCoelococcus節植物に比べて稔性のある果実が得難いことが問題であると指摘してきた。2018年のフィジー調査により,Coelococcus節の詳細な観察と,それに基づく節間の比較から,Metroxylon節のサゴヤシでは胚珠の退化がスムーズに行われないことが,稔性果実が生じ難い理由であると考え得る根拠を得た。これは,サゴヤシの栽培技術の高度化に向けて大きく貢献する成果と言える。また,ソロモン諸島に3種のサゴヤシ属植物が分布することが確認できたのは初めてのことであり,2019年5月のサゴヤシ学会,8月の持続的プランテーション会議において報告する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年までの調査により,サゴヤシ属植物が生育する主な国々,東南アジアのタイ,マレーシア,インドネシア,ブルネイ,フィリピン,メラネシアのパプアニューギニア,ソロモン諸島,バヌアツ,フィジー,ポリネシアのサモア,ミクロネシアのミクロネシア連邦において現地調査を実施し,分布部域のほぼ全てをカバーした生態調査を行ってきた。しかしながら,McClatchey (2004, http://agroforestry.org/images/pdfs/Metroxylon-sagopalm.pdf) の著述ではミクロネシアでタイヘイゾウゲヤシ(Metroxylon amicarum)が分布するとされるもうひとつの国,マーシャル諸島において,現在も同種の生育がみられるのか否かが確認できていない。タイヘイヨウゾウゲヤシは古くはグアムやパラオにも分布していたとされるが,現在ではそれらの国・地域に生育は見られなくなってしまっている。今期5年間の取りまとめの年に当たり,タイヘイヨウゾウゲヤシの現在の分布域を確定するための調査,情報収集に努め,サゴ属資源のインベントリーの質,精度の向上に資する。また,これまでの成果を広く共有するため,積極的な情報発信を行う。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Phylogenetic study of Metroxylon palms in Southeast Asia and Oceania based on 5S nrDNA spacer sequence data2019
Author(s)
Ehara, H., Yamamoto, T., Tsuchiya, T., Naito, H., Dowe, J. L., McClatchey, W. C., Mishima, T., Itaya, A., Mizota, C., Pasolon, Y. B., Ala, P., Tuiwawa, M., Naikatini, A., Rounds, I. A., Foliga, T., Lui, S. and Kwan, S.
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Journal Title
SAGO PALM
Volume: 26(2)
Pages: 37-43
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Floral structure and develop,ent of sago palm and related species2018
Author(s)
Ehara, H., Takagi, M., Naito, H., Mishima, T., Toyoda, Y., Pasolon, Ala, P. Tuiwawa, M., Naikatini, N., Foliga, T., Lui, S. and Phillip, J.
Organizer
The International Society for Southeast Asian Agricultural Sciences Cngress 2018, Majestic Riverside Hotel, Kuching, Malaysia
Int'l Joint Research
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[Presentation] Response of sago palm seedlings on nitrogen and phosphate fertilizer under soil cultivation2018
Author(s)
Asano, K., Takagi, M., Unoki, S., Azhar, A., Kikuta, M., Makihara, D., Naito, H. and Ehara, H.
Organizer
The International Society for Southeast Asian Agricultural Sciences Cngress 2018, Majestic Riverside Hotel, Kuching, Malaysia
Int'l Joint Research
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[Presentation] Improving cultivation method and commercialization of sago palm with interdisciplinary approaches for sustainable agriculture and food security2018
Author(s)
Ehara, H., Naito, H., Pasolon, Y. B., Azhar, A., Takagi, M., Asano, K., Chutimanukul, P., Mishima, T., Itaya, A., Uchiyama, Y. and Toyoda, Y.
Organizer
The 1st International Conference on Sustainable Agriculture for Food Security and Sovereignty, Hotel Horizon Ultima, Palembang, Indonesia
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] The Current Situation of Sago Production and Market Linkages in South Sulawesi, Indonesia2018
Author(s)
Trisia, M. A., Metaragakusma, A. P., Osozawa, K., Kikuta, M. and Ehara, E.
Organizer
The 27th Annual Meeting of the Society of the Sago Palm Studies, Tokyo University of Agriculture, Tokyo
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[Presentation] Floral Morphology of Metroxylon Palms: Sago Palm and Solomons’ Sago Palm2018
Author(s)
Ehara, H., Naito, H., Takagi, M., Mishima, T., Toyoda, Y., Kikuta, M., Pasolon, Y. B. and Philimon, A.
Organizer
The 27th Annual Meeting of the Society of the Sago Palm Studies, Tokyo University of Agriculture, Tokyo
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[Book] 熱帯農学概論2019
Author(s)
江原宏, 樋口浩和
Total Pages
296
Publisher
培風館
ISBN
978-4-563-07826-3
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