2016 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアの熱帯雨林からのエンドファイトの分離と鉱山跡地の修復への利用
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15H05246
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
俵谷 圭太郎 山形大学, 農学部, 教授 (70179919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩野 義人 山形大学, 農学部, 教授 (80361278)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エンドファイト / インドネシア / エポキシシクロへキセノン / 熱帯雨林 |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシアのジャワ島、ビンタン島及びカリマンタン島の天然林及び鉱山跡地から土壌及び樹木を採取した。採取した土壌及び樹木を日本へ輸入し、山形大学農学部において非樹木種であるParaserianthes falcataria 及び Brassica campestrisを人工気象器で生育させ、3-6ヶ月後に根を採取し、根を表面殺菌し、PDA培地またはMEA培地で培養した。200株以上のエンドファイトを分離した。33菌株の菌糸からDNAを抽出し、18SRNA部分塩基配列から種を同定した。7菌株は未記載のものであった。分離菌株を無菌の1/10, 1/100MS培地に接種し、P. falcataria 及び B. campestrisを30-90日間生育させた。分離菌株には生育を促進するもの、阻害するもの、生育に影響を与えないものが認められた。また、分離菌株が植物生育に及ぼす影響は1/100MSで1/10MS培地より大きかった。インドネシアの森林より、多種類のエンドフィトを分離し、その代謝産物を精査した結果、ガジャマダ大学附属演習林(ワナガマ)より、採取したマメ科のGliricidia sepium (マドルライラック)の植物片より、糸状菌120-1 NP株を分離した。本菌の培養後の代謝産物を調査したところ、細胞毒性作用を示す化合物1を明らかにした。化合物1の構造はNMRやX線結晶構造解析により、絶対立体配置も含めて明らかにした結果、エポキシシクロへキセノンを有する新規なポリケチド類であった。熱帯地域の植物から分離されたことと、新規物質であることから、植物体への成長活性作用など、化合物1の有する生理活性作用に期待ができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドネシアの天然林に生育する樹木から多くのエンドファイトを分離することができた。これらのなかには植物生育を促進するものがあり、また多様な物質生産性を示すことを確認した。以上により、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
分離されたエンドファイトが植物生育に及ぼす影響、エンドファイトの生産する新規物質の同定を進めるとともに、樹木の生育に対する影響を明らかにする。これらはこれまでの研究遂行の実績から、十分に実施できるものと判断される。
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Research Products
(3 results)