2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H05328
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江波 進一 京都大学, 白眉センター, 准教授 (00589385)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エアロゾル / 気候変動 / 地球温暖化 / 界面 / 不均一反応 / 大気化学 / 環境化学 / ラジカル |
Outline of Annual Research Achievements |
新規質量分析法と光分解用レーザーを組み合わせた不均一反応のその場計測手法を応用し、海洋エアロゾル中に多く含まれる液相のジメチルスルホキシドと気相のOHラジカルの不均一反応過程の実験研究を行った。その結果、ジメチルスルホキシドはOHラジカルと効率的に不均一反応を起こし、気液界面にメタンスルフィン酸、メタンスルフォン酸などを生成することがわかった。本研究によって明らかになった反応メカニズムは海洋エアロゾルがその酸化過程で雲の凝集核に変化する分子機構として注目される。本成果はアメリカ化学会のEnviron. Sci. Technol.に掲載された。 また植物由来エアロゾルに多く含まれるピノン酸とOHラジカルの不均一反応機構の研究を行った。気液界面に生成する過酸化物やペロキシルラジカルといった不安定中間体を直接検出することに成功した。またその反応メカニズムを解明した。本結果は論文にまとめて、現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
順調に大気エアロゾルの光化学的エイジング過程の研究を行うことができている。本年度の目的であった有機エアロゾルはすでに成果を上げ論文に掲載されており、さらに、海洋エアロゾルや植物由来エアロゾルに関しても研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は汚染大気中のエアロゾルの主成分である安息香酸とOHラジカルの不均一反応に関する研究を行う。安息香酸は芳香族化合物の代表的な分子であり、得られた結果はそのほかの芳香族化合物を含む大気エアロゾルの光化学的エイジング過程の機構として普遍的に応用できる可能性がある。またOHラジカルだけではなく、NO3ラジカルやI原子などの別のラジカル種による不均一エイジング過程の研究を行う予定である。本研究によって地球の気候変動に重要な寄与をしている大気エアロゾルの光科学的エイジング過程の本質的な解明に大きく近づくことが期待される。
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Research Products
(9 results)