2017 Fiscal Year Annual Research Report
医療サービス提供のためのシミュレーションシステムの構築
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15H05349
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
市川 学 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (60553873)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 患者調査 / 医療需要 / シミュレーション / 危機管理 / 災害 / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、これまでに構築した「日中の医療機関受診モデル」において、患者の発生の理由としていた患者調査の結果について、平成26年度患者調査の結果を適用するために調査結果の分析を改めて行った。これまでは平成17年度患者調査の結果を用いていたこともあり、データそのものが古くなって来ていた。そのため、新たしい調査結果を利用した患者発生確率の算出を行い、モデルに反映した。この分析結果より、年齢コホート別初診患者数のデータと傷病別年齢コホート別初診患者数の全国平均値を用いることて、地域により、特定の病院に患者が密集し医者が不足するといった問題を抱えていることが判明した。 また、「日中の医療機関受診モデル」に限らず医療サービスを評価するために本研究で構築してきたシミュレーションモデルでは、これまで人工都市で生活する住民を国勢調査の集計単位である小地域の重心に配置してきた。この配置を見直すべく、国土交通省が公表する住所ポイントの緯度経度情報と国勢調査から個票を推計する研究を専門とする研究者と協力して、模擬個票を利用した人工都市の設計に着手した。 一方、大災害発生時の医療サービス支援の検討評価を開始するにあたっては、災害時の避難所における避難者の長期生活に着目し、避難者個々人の健康危機管理から生活再建までを視野に入れた政策を行う中で、それぞれのQOLの評価体系の必要性について検討した。避難所の実態に関連する文献調査をもとに、QOL評価に必要となる評価項目の分類と体系化、および評価尺度の設定について調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学会などで発表する活動や医療サービス・公衆衛生サービスを提供する方々に研究成果を説明していく中で、そのシミュレーションモデルの有用性については認知されつつある中で、実際に地方自治体や保健所、医療機関や各保健医療従事者から協力を得られまでの、説得力のあるモデル構築にまでは至らなかった。 原因として考えられたのが、新しく調査結果が公表されてくる中で、これまで利用してきたデータが古くなってきたことにより、実社会における患者発生の傾向との乖離が生じ始めてきた事である。そこで、平成29年度は最終年度を見据えて、改めて公開されている情報の分析に注力することによってモデルの見直しを測った。そのため、当初の目標であった、説得力のあるシミュレーションモデルの構築には至ることができなかった。 一方、医療サービスが発生する人工社会・人工都市のあり方については、国勢調査を元に模擬個票を推計する研究を進める研究者と協力することによって、より現実社会に近い人口分布、世帯構成を加味した人工都市の構築の可能性が浮上した。そのため、これまでのモデルの設計を見直すこととなった。平成29年度については、結果としてこれまでに構築してきたモデルを見直す年度となり、全体の研究目標である医療サービスの制度設計の評価、災害時の健康危機管理の評価を行うことができるシミュレーションモデルを構築するという点についての著しい進捗が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションモデルの基盤となる人工都市の精度が、模擬個票を利用できる環境となった影響により、例えば、最寄りの医療機関までの距離だとか、医療・保健サービスの拠点の範囲といった地理情報に関係する情報の計算量が増えてきている。そのため、シミュレーションが効率よく行えるように、事前計算できる部分への対応を行う。 また、平成29年度に患者調査の結果を改めて分析し直したように、新しいデータが公開されるごとに関連するデータの際分析を行わなければならない。本研究において構築するモデルの持続可能性を最大限に担保するためにも、公開される最新のデータへの対応は避けて通れる問題ではない。そのため、公開されるデータの分析方法について、定義を見直し、標準分析フローの確立も行っていく。 こうしたシミュレーションモデルの基盤となる人工都市の見直し、および新しいデータへの対応方法の検討と比較して、現実社会に受け入れてもらえる医療サービス・公衆衛生サービスを再現・検討・修正 ・予測できるシミュレーションモデルを完成させる。
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Research Products
(3 results)