2017 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病治療用多機能ハイドロゲルの実用化に向けた階層的評価
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15H05353
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中路 正 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 准教授 (10543217)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | キメラタンパク質 / ハイドロゲル / ドーパミン神経 / 細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度より、Semi vivoという生体外でありながらも生体内の挙動を追跡できるシステムの構築を目指してきた。Semi vivoでの組織培養では、酸素量が影響するため、それほど分厚い組織での評価は難しいが、200 um 程度での培養で結果が得られるようになってきた。その評価の中で、線条体に移植した細胞が、線条体外に遊走していくことがわかった。これは、大きな発見になるかもしれないと考えている。これまでは、移植細胞は、線条体内でドーパミン神経のネットワークを形成し、ホスト神経と接続されると考え、その評価を行ってきたが、予想とは異なる可能性が出てきた。引き続き、移植後1~2日で組織を採取しSemi vivo評価を行う今までと同様の系に加え、移植後経時的にラットを飼育し、所定期間後に取りだしてSemi vivo評価に移る系の2つのアプローチで評価していく。 一方、電気生理からの神経網再構築を調査する実験では、やはりノイズが非常に大きく、また移植神経の再構築挙動を見ているのか、それともホストの挙動を見ているのかが判断できない状態にある。本年度は、動物の電気生理を専門とする研究者に連携してもらい、実験系の改善および評価系の再構築を行い、未来につながる成果を求めていくこととする。 また、本年度は、本課題で構築した移植用ゲルシステムの改良、特にアテロコラーゲンから、完全合成型ゲルへ改良する研究内容で、国際共同研究強化が採択された。このことから、最終年度ではあるが、完全合成型ゲルの構築、またその有用性の評価を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実績概要で記載した通り、Semi vivo 評価系の構築に時間を要したことに加え、新たに移植細胞の線条体からの遊走が強く疑われる結果が得られたことから、これまでの予想を元に進めてきた方針を少し転換したことで、成果を得るまでにもう少し時間を要してしまうため。 また、本課題を基研究課題として、国際共同研究強化に採択されたことを受けて、新たに完全合成型ゲルの創製を目指すこととなり、本研究の終着点が増えたことから、研究者自身としては、本研究の進捗はやや遅れていると言わざるを得ないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、実績の項で触れた通り、Semi vivo 評価の系を増やし、多角的に移植細胞が神経分化し、その後線条体からどのようにホスト組織と連携するのかを追跡する。これは、本年度中に、何らかの成果が挙げられると期待している。 電気生理の観点から神経網再構築を追跡する実験については、まだまだ課題が多いため、それらの課題を、電気生理を専門とする研究協力者からの助言を受けつつ、解決していく予定であり、本研究の終了までには、評価系の足場を構築するという目的で実験を進める。 本課題を基研究として採択を受けた、国際共同研究強化の課題と連携し、完全合成型ゲルの構築、そして移植細胞の保護・機能制御が達成できるかを評価していく。オーストラリア連邦の CSIRO の研究者、Monash 大学の研究者と共に、これまでの性能をはるかに凌駕するゲルシステムへと改良したいと考えている。
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Research Products
(19 results)