2016 Fiscal Year Annual Research Report
認知症発症抑制に関する脳画像縦断研究―軽度認知障害から正常への移行に着目して―
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15H05369
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
土井 剛彦 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 予防老年学研究部, 特任研究員 (60589026)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高齢者 / 認知機能 / 活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大規模地域コホートから抽出した軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)を有する高齢者を対象とし、縦断追跡調査を実施することで、MCIから認知機能正常への移行に寄与する脳の変化と身体・知的活動がMCIからの変化ならびに脳へ及ぼす影響について明らかにすることを目的とする。本研究は、大きく分けて2つのコホート(平成23年・25年に各々高齢者機能健診実施)において調査を実施し、各コホートにおいて、縦断追跡調査を実施する。平成28年度はすでに実施された縦断調査データを整理し、pre解析を行い、平成29年度に実施予定の縦断調査の実施項目の参考資料を作成した。MRIならびに3軸加速度計を用いた客観的活動量をベースラインと再調査の両方において測定が完遂されたものを対象に解析を行った。その結果、歩数が再調査時のときに減少したものは認知機能が有意に低い状態になっていた(p = 0.035)。さらに、MRI解析によって全脳における萎縮の進行度に対しては、ベースライン時における中強度以上の活動が有意に関連していた(年齢、性別で調整、β = -.143, p = 0.024)。さらに、診療情報データベースを用いた解析によると、認知症発症に対して、身体機能低下と主観的な認知機能低下の訴えや客観的認知機能が組み合わさることで有意にリスクが高くなることが明らかになった。これらの結果を踏まえ、平成29年度は、脳画像解析については部位別解析を進めるとともに、身体活動と身体機能の両面に着目した解析をすすめ、2つ目のコホートにおける縦断調査を合わせて実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の進捗状況として、予定されていた調査ならびに解析を実施できているため、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方法としては、平成27年度から28年度に実施分の調査から得たデータを継続して解析するとともに、平成29年度に予定されている縦断調査の準備ならびに実施を予定している。
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Research Products
(5 results)