2015 Fiscal Year Annual Research Report
人工結合タンパク質を基盤としたプライベートシャペロンシステムの再構築
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15H05370
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
安井 典久 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90467514)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 蛋白質 / 進化分子工学 / 合成生物学 / 分子シャペロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,プライベートシャペロンのフォールド特異的な基質タンパク質認識と,分子シャペロン機能の相関関係を明確にすることを目的に,人工結合タンパク質作製基盤の構築と,それを起点とした合成生物学的研究に取り組む。本年度は、人工結合タンパク質作製基盤を構築することを目指して,新規な人工結合タンパク質の分子骨格の設計と,そのファージディスプレイライブラリーの作製に取り組んだ。人工結合タンパク質の分子骨格として,(1) Chitinase A1のキチン結合ドメイン,(2) シスタチン様フォールドを持つscMonellin,および (3) Keap-1のKelch repeatドメインという3種類のそれぞれ異なるフォールドを持つドメインを候補とした。3種類のドメインのうち,キチン結合ドメインとscMonellinについては,ファージ表面への提示を確認することができた。特に,ファージに提示させたキチン結合ドメインは,本研究で新しく構築したキチン結合活性測定系においてキチン結合活性を示したことから,立体構造を保持していることが期待された。一方,Kelch repeatドメインについても,ファージ表面への提示を試みたが,提示を確認することができなかった。ファージ表面に提示することができたキチン結合ドメインについては,サイズがおおよそ1×10^10であるコンビナトリアルライブラリーを作製した。次いで,ySUMOおよびGFPuvをモデル標的タンパク質としてライブラリーの選別を行った。しかし,それら標的タンパク質に結合するキチン結合ドメイン変異体を得ることはできなかった。そこで,キチン結合ドメインの立体構造を基に,コンビナトリアルライブラリーの設計を再検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,3種類のタンパク質ドメインをファージ表面への提示実験を実施し,そのうち1種類のタンパク質ドメインについては,コンビナトリアルライブラリーの作製と,その選別を実施することができた。それと並行して,モデル標的タンパク質の調製,結合活性評価系の構築を順調に完了させることができた。作製したファージディスプレイライブラリーについて,モデル標的タンパク質を用いて選別も行っている。モデル標的タンパク質に特異的に結合する人工結合タンパク質の取得には至っていないものの,ライブラリーの設計,構築およびその選別を一通り実施できたことから,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
3種類の分子骨格のうち,最も進展しているキチン結合ドメインについては,新たに設計したコンビナトリアルライブラリーを構築し,モデル標的タンパク質を用いてその選別を行う。scMonellinについて,小規模ながらもそれを基にしたライブラリーの構築は前年度までに終えており,今年度の早い時期にキチン結合ドメインと同様,ライブラリーの選別に取りかかるよていである。残るKelch repeatドメインについては,ファージ表面に提示できないことから,これと同じβプロペラフォールドを持つ他のドメインを利用することを考える。モデル標的タンパク質に対して特異的に結合する人工結合タンパク質が得られた場合,それらの物理化学的諸性質の解析を進め,得られた情報をコンビナトリアルライブラリーの改良に活用する予定である。
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Research Products
(3 results)