2015 Fiscal Year Annual Research Report
名目金利のゼロ下限制約と不完全金融市場を考慮したマクロ経済政策の分析
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15H05389
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
奴田原 健悟 専修大学, 経済学部, 准教授 (30553672)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マクロ経済学 / 名目金利のゼロ下限制約 / 金融市場の不完全性 / 経済政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、ゼロ金利下でのマクロ経済政策の効果を分析した既存の研究のサーベイを行い、「ゼロ金利下における政策効果のパラドックス:可視的アプローチによる俯瞰」という論文にまとめた。同論文では、通常右下がりの形状をするはずの総需要曲線が、ゼロ金利下では右上がりになることで、通常時とは異なる様々な政策効果が生み出されていることを明らかにした。同論文は、専修経済学論集に投稿し、受理・掲載された。 また、金融市場の不完全性下での金融政策の効果の分析を行った。ここでは金融市場の不完全性として、企業の運転資金借入が企業の持つ資産価値に制約される場合を考えた。このとき、資産価格変動を考慮に入れた金融政策の有効性は、金融市場の不完全性の度合いに大きく影響されることを発見した。この研究結果は、資産価格とインフレ率の関係が金融市場の不完全性に依存して変化することに起因する。この研究は、"Do Credit Market Imperfections Justify a Central Bank's Response to Asset Price Fluctuations?"という論文にまとめた。同論文は、Singapore Economic Review Conference 2015で報告したうえで、Journal of Economic Dynamics and Control誌に投稿し、受理・掲載された。 上記に加えて、都内近郊の若手マクロ経済学研究者を集めたDSGE workshopを7回開催したほか、東海大学熊本キャンパスにてDSGEコンファランスを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金融市場の不完全性に関する研究、名目金利のゼロ下限制約に関する研究ともに一定の成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
金融市場の不完全性に関する研究および名目金利のゼロ下限制約に関する研究をさらに深めていく。また、今後は名目金利のゼロ下限制約と金融市場の不完全性を考慮したマクロ経済モデルの開発にも着手し、マクロ経済政策の効果を分析する。とくに、規制緩和の効果を中心に分析を進める予定である。まずはシンプルなモデルを中心に分析を進め、その後現実経済を分析できるような中規模マクロ経済モデルへの開発に進む。
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Research Products
(3 results)