2016 Fiscal Year Annual Research Report
ハイエク思想の大衆化に関する研究:新自由主義はどのように「ネオリベ」となったか
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15H05390
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
吉野 裕介 中京大学, 経済学部, 准教授 (00611302)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハイエク / 新自由主義 / ネオリベラリズム / オーストリア学派 / モンベルラン・ソサエティ / 自由主義 / カール・ポパー / ミルトン・フリードマン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の2年目となる28年度においては,「組織」の観点から,二十世紀に自由主義者の会合として西側諸国に影響力を持った「モンベルラン・ソサエティ」に焦点を当て,ハイエク思想との異同を探ることを目的とした。 具体的には,1)かれらモンペルラン・ソサエティが組織として展開した言説がいかなる意味で「新しい」自由主義かどうかという問題と,2)かれらの主張と実際に「新自由主義」だとしてみなされ実行された二十世紀の西側諸国の経済政策が基礎に置く基礎が,どのような関係にあるのか,という問題を考察した。 このような問題設定のもと,本年度に実行された計画は,自由主義経済思想の伝播に着目し,米国のオーストリア学派の経済学者たちが活動の場を得た大学の図書館を訪問し,かれらにまつわるアーカイブの調査が,主たる活動の内容であった。具合的には,ハイエクやフリードマンらのアーカイブの収録されたスタンフォード大学フーバー研究所,カール・ポパー関係の文書が収録されていると思われるオーストラリア・シドニーのシドニー工科大学,シドニー大学などである。 これらの調査の結果,自由主義経済思想の伝播とモンベルラン・ソサエティという組織の発展における一定の影響関係と,特に西ドイツにおける経済政策への限定的な関わりが新たに明らかになった。こうした調査は,3年目以降の研究において,論文・著書への活用が大いに期待できるものとなった。 また,海外のハイエク研究者が編者を務める英語著書へ,論文を寄稿できた。この論文の掲載により,国内外のハイエク研究者との議論の結果であるだけでなく,海外の自由主義経済思想研究及びハイエク研究の水準にキャッチアップするという本研究計画の目的の一つが達成されたと考えられる。同時に,残りの計画の実行においても,必要な基礎的研究となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の獲得のための調査,あるいは研究の構想については予定通りの進展を見せたものの,論文・著書への執筆という面においては,予想以上の進展を見せたとは言い難い。ただし,そのような中でも英文論文集への寄稿など,一定の成果が得られたとみられるため,上記(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究調査から,以下のさらなるアーカイブの探索が必要であることが判明した。すなわち,東海岸のいくつかの図書館(ニューヨーク大学,プリンストン高等研究所),アジア地域の図書館などである。29年度以降においては,これまでに企画した計画の通り研究を進めつつ,こうした場所への研究調査を行い,さらに充実した資料を入手し,研究成果の公表へと結びつける。それにより,企画通りあるいはそれ以上の研究の進展を目指す。
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Research Products
(3 results)