2017 Fiscal Year Annual Research Report
Invoice currency and exchange rate pass-through
Project/Area Number |
15H05393
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
吉見 太洋 中央大学, 経済学部, 准教授 (30581798)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 決済通貨 / 為替相場パススルー / 国際金融 / 開放マクロ経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度における具体的な研究実績としては二つ挙げられる。第一の実績は、決済通貨決定に関する研究の成果を一編のDiscussion Paperとしてまとめることが出来たことである。本研究課題では当初、決済通貨が為替パススルーに与える影響と、貿易取引頻度に与える影響について、合計二編の論文をとりまとめることを計画していた。しかしながら、これら二つのテーマは不可分な要素があるため、一編の論文にまとめることが適切であると考え、動学的な要素も取り入れた上で一編の論文にまとめることとした。当該研究成果については、"Export Dynamics and Invoicing Currency"というタイトルで、Economic Research Institute for ASEAN and East Asia (ERIA)のDIscussion Paperとして近日公表を予定している。
第二の実績として、2016年度に南山大学のワーキングペーパーとして公表した研究成果論文"Exchange rate pass-through at the individual product level: Evidence from Japan and Thailand"について、国際的な査読付き学術雑誌であるNorth American Journal of Economics and Financeから掲載の採択を受けたことが挙げられる。当該研究では、日本からタイに輸出される中古建機の個別機械価格に対する為替パススルーの推計を行い、当該市場における為替相場パススルーに非対称性が存在することを明らかにした。タイトルは"Exchange Rate Pass-through at the Individual Product Level: Implications for Financial Market Integration"として、近日公刊予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画においては、二通りの研究テーマについて、合計二編の論文執筆を行うことを予定していた。これに対して、現状既に二編の論文について、国際的な査読付き雑誌への掲載が決定している。一編目の論文は"Welfare implications of currency integration: Labor mobility and pricing-to-market" (Taiyo Yoshimi, Global Economic Review, 2016, Vol.45, No.1: 78-96)として既に公刊されている。二編目の論文は"Exchange Rate Pass-through at the Individual Product Level: Implications for Financial Market Integration"(Kai Po Jenny Law, Eiji Satoh and Taiyo Yoshimi, North American Journal of Economics and Finance, forthcoming)として近日公刊予定である。
これらの研究成果に加えて、"Export Dynamics and Invoicing Currency"というタイトルで、決済通貨の動学的決定に関する研究成果をEconomic Research Institute for ASEAN and East Asia (ERIA)のDIscussion Paperとして近日公表予定である。また、追加的な関連研究として、研究協力者である早川和伸氏(アジア経済研究所)と関税パススルーに関する研究も開始した。こうした現状を踏まえて、当初の計画以上に進展していると判断することが出来る。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の関連研究としては、既に二編の論文について、国際的な査読付き学術誌への掲載が決まっている。これらに加えて現在取り組みを行っている研究としては、決済通貨の動学的決定に関する研究である"Export Dynamics and Invoicing Currency"(Economic Research Institute for ASEAN and East Asia: ERIAのDIscussion Paperとして近日公表予定)および、研究協力者である早川和伸氏(アジア経済研究所)と取り組みを始めた関税パススルーに関する研究の二つが挙げられる。最終年度となる2018年度は、主にこれら二つの研究を前に進めていく計画である。
まず一つ目の決済通貨の動学的決定に関する研究であるが、こちらは理論モデルの精緻化、実証研究の頑健性確認等、多くの課題が残っている。本年度は、複数の研究会・学会報告や、共同研究者との作業を進めることで、研究の中身を改善していきたいと考えている。既にいくつかの研究会・学会報告も決まっているため、随時内容のアップデートを行っていきたい。
二つ目の関税パススルーに関する研究は、理論モデルの構築が遅れている。実証分析では既に多くのエビデンスが得られているため、それらのエビデンスに関してどのような解釈が与えられるか、またどういった追加的な示唆を得ることが出来るか、理論モデルを具体的に構築していいきたいと考えている。こちらの研究についても本年度内に概ね内容を固め、ワーキングペーパーとしての公表と査読付き学術誌への投稿を済ませることを目標に据えている。
|