2015 Fiscal Year Annual Research Report
中学から高校への移行に注目した教育格差生成メカニズムの解明
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15H05397
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中学生 / 進路希望 / 母親 / パネル調査 / 教育機会 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年10月から2016年1月にかけて「学校生活と将来に関する親子継続調査」(JLPS-J)を行った.本調査は,(1)中学3年から高校2年までの生徒の教育期待,学校生活,家庭の社会経済的状況をとらえた2時点のパネル調査を行い,パネルデータセットを構築する.そして(2)イメージの変化,高校の影響,社会経済的状態の変化およびその相互の影響関係に注目した因果分析から,教育期待の社会経済的格差が生じるメカニズムを明らかにすることを目的とする.調査は調査会社のモニタに対する郵送調査であり,サンプリングは割当法(性別,都道府県,人口規模)を用いた.調査票の作成にあたっては,研究代表者自身の研究目的遂行だけではなく,幅広い視点を取り入れた分析の可能性を考え,共同研究者を募り,研究会を組織した.そして,研究会の協力のもとで,調査票を作成した. 中学生と母親の合計4,117ペアに調査票を郵送し,2016年1月までに,合計1,859ペアから調査票を回収することができた.そのうち有効回収は1,854ペアであった.よって有効回収率は,45.0%となった.データ納品後に,研究会メンバーで職業コーディングや学校コーディングなどの作業を行った. 調査の設計や目的については,ディスカッション・ペーパーとしてまとめた.そこでは,調査の目的と背景を説明した上で,調査の設計を示した.そして,回収率を示し,回収に影響を与える要因を検討した上で,有効回収サンプルの属性について,2011年に内閣府が行った中学3年生と保護者を対象とした調査との比較から検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
早くから研究会を立ち上げ,多くの研究者と共同で検討することによって,十分に内容のねられた完成度の高い調査票を完成することができた.また調査の設計や依頼の準備も計画的にすすめることができたため,予定通り調査を行うことが可能となった.十分に調査期間をとることによって,最終的には予定より多い1800以上の母子ペアから回答を得ることが可能となった.コーディングやクリーニングについても予定通り進み,ほぼ終えることができており,1年目は順調に進展しているといえる.成果としてすでに回収や標本の特性に関するディスカッションペーパーも執筆された.研究課題については度数分布の確認から簡単なモデルによる推定までの分析を行い,仮説を支持する結果も得られている.次年度に向けての研究会開催準備や,基礎的な分析を終えており,平成28年度には基礎的な分析だけではなく応用的な分析も可能となっている,また,それに基づいた平成29年度の調査票作成を行うことが可能となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は完成したデータをもとに,中学生と母親の進路選択についての分析を行う予定である.研究会を開催したり,学会などで報告して,ワンショットでの特徴を明らかにするとともに,2017年度に行う予定の調査の調査項目を検討する.これらの分析結果をもとに,中学生の進路意識の実態に関する成果を報告書あるいは書籍としてまとめ,報告する予定である.
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