2016 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ化物ナノ粒子の犠牲酸化による強磁性L1o-FeNiナノ粒子の合成
Project/Area Number |
15H05409
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中谷 昌史 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80451681)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 強磁性 / 結晶構造変態 / L10相 / FeNi |
Outline of Annual Research Achievements |
高い一軸異方性定数を有するL1o-FeNiをナノメートルサイズの粒子で調製し、配列させることで、次世代高性能永久磁石や垂直磁気記録媒体への応用を目的として研究を進めている。L1o-FeNi相は直接調製出来ず、相変態によりその構造を得る必要があるが、L1o-FeNi相の形成温度が320度以下と低いため、他元素をドープし構造変態しやすい条件下での調製を目指し、その前駆体となるFe-Ni-Xナノ粒子の調製を行った。 添加元素 X には、本研究においては犠牲酸化の利用を目的としてホウ素(B)を選択している。逆ミセル法によりFeならびにNi前駆体を溶解させた水溶液を、ホウ素の前駆体を溶解させた水溶液を添加し、ホウ化物の調製を行った。 得られたサンプルはホウ化物特有の黒色であったが、溶液から洗浄により取り出している最中に分解が進行してしまい、ホウ化物として長期保管出来ないことが確認された。これは反応溶液中の溶存酸素、洗浄用のアルコール中酸素により分解が促進されてしまい、ホウ化物の状態が維持出来ないためと考えられる。そのため、上記反応溶液を全て窒素ガスバブリングにより脱酸素を行った後、同様の反応を行った。その結果、得られたサンプルの大気下暴露時の分解は確認されなかった。得られたサンプルは、粒度分布が広いものの、ナノメートルオーダーの粒子が得られたことが確認された。しかしながら、脱酸素下での反応により、分解までの時間は少しだけ延びたものの、大気下での処理中の分解が進むため、測定は電子顕微鏡によるものまで確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ナノ粒子を得ることには成功したため、合成条件の基を構築することは出来たものと考えられる。しかしながら、得られたナノ粒子を安定に保管することが難しく、安定化処理方法を見つけることがまだ出来ない。これにより、得られた粒子の組成分析、構造分析ならびに粒子を用いた構造変態処理までに移行出来ておらず、本研究の進度が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Fe-Niホウ化物ナノ粒子の調製までは出来ているため、その後の安定化させる方法について検証し、分析を進めることを第1とする。または、分解する前に雰囲気制御炉内へ移動させ、処理を行い、気相下での反応を直接行い、目的物が得られるかどうかの原理確認を行う。 H28年度に得られた粒子は、粒度分布が広く、また粒径が小さかったことから、界面活性剤濃度を変化させ、逆ミセルの径を変化させることで粒径を制御する。また、反応時間を変える、添加剤濃度を変えるなど反応諸条件を変化させ、粒径増大と単分散化を試みる。
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Research Products
(8 results)