2015 Fiscal Year Annual Research Report
径偏光ビームの集光場における光と物質の相互作用を利用した極微小レーザに関する研究
Project/Area Number |
15H05427
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
北村 恭子 京都工芸繊維大学, グローバルエクセレンス, 講師 (40635398)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 径偏光ビーム / プラズモニックレーザ / フォトニック結晶レーザ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、微小集光特性などで注目を集めてきた径偏光ビームの新たな価値創出を目指すものである。具体的には、径偏光ビーム集光場における光と金属ナノ構造および誘電体構造との相互作用に基づき、①径偏光ビーム集光場におけるクローキング的効果と金属による電場増強効果を用いた、ナノプラズモニックレーザおよび②径偏光ビーム集光特性と誘電体構造を用いた、単一チップサブ波長自己集光レーザの2種の異なるタイプの極微小レーザを創製することを目指している。 平成27年度は、上記の研究内容①に関連して、径偏光ビームの焦点に複数個の金属ナノ構造が挿入されたような系に対して、金属間に量子井戸等のゲイン物質を導入し、誘導放出過程を解析できるように、3次元FDTD法による電磁界シミュレーションの拡張を目指した。また、上記の研究内容②に関連して、これまでに申請者らが提案してきた径偏光ビームと円錐状の誘電体を用いた微小集光のコンセプトを基に、入射NA、利用する誘電体の屈折率、円錐状の誘電体の大きさ、頂角などのパラメータを変化させながら、フォトニック結晶レーザ発光面の加工に適した材料・構造の選定を行った。その結果、市販のアキシコンレンズの範囲で考えると、屈折率1.5程度の材料で頂角45度程度、入射NAを0.65~0.7程度にする必要があることが分かった。比較的加工が容易と思われる発光面のGaAs基板では、一度空気中に光を出射させ、低いNAで集光した後にGaAsで構造体を作製すればよく、斜めエッチング法などで作製できる可能性が示唆された。全体としては、当初の予定から計算機環境が変化したため、市販の3次元FDTD法シミュレーションツールも導入し、比較しながら研究を推進しており、当初の予定より研究内容①に関して若干遅れているが、全体としては概ね順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、研究内容①に関しては、誘導放出過程を解析できるような電磁界シミュレーションの拡張を目指してきた。前述のとおり、計算機環境が変化したため、若干の遅れが生じ、まだ完全に誘導放出過程を解析できるようになったとは言い難いが、市販のシミュレーションツールも導入し、挽回に勤めている。研究内容②については、当初の予定通り、フォトニック結晶レーザの発光面の加工に適した材料・構造の検討を行い、発光面のGaAs基板そのものの加工の可能性が示唆されるなど、順調に研究を進めることができた。以上より、全体として、概ね順調に進んでいると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
先述のように、本研究は当初の計画に対して概ね順調に進んでいる。平成27年度中に計算機環境を整えることが出来たため、研究内容①については、金属の分散関係すなわち物性の周波数依存性を考慮しながら、金属-誘電体(ゲイン)-金属と集光径偏光ビームによるナノプラズモニックレージングについて解析を進める。研究内容②については、光線追跡的な手法を用いて、解析を進め、所望のNAの集光用レンズと円錐状誘電体の効果を併せ持つ合成レンズを設計する。昨年度の結果から、発光面のGaAs基板への直接加工の可能性が出てきたため、この方向性を中心に解析を行う。加えて、顕微系に径偏光ビームを導入し、石英材料にて頂角45度のアキシコンレンズを特注し、微小光場の形成の初期実証になるような実験を行う。
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Research Products
(14 results)