2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H05436
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高田 了 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (50713236)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 成層流体 / 分散型評価 / Boussinesq 方程式 / Euler 方程式 / 特異極限 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度までに引き続き,地球流体力学に現れる非線形偏微分方程式系に関する研究を行った.特に本年度は,安定成層のみが単独で存在する場合において,非粘性 Boussinesq 方程式に対する長時間可解性と浮力周波数を無限大とする特異極限問題を考察した.
(1)3次元非粘性成層 Boussinesq 方程式の長時間可解性と特異極限:3次元全空間において,安定成層の影響を考慮した非粘性 Boussinesq 方程式の初期値問題に関して研究を行った.粘性および熱拡散による消散性のない状況において,先行研究では時間局所適切性が知られていたが,本研究では安定成層による分散性を用いることで,浮力周波数が十分大きい場合に,同方程式の長時間一意可解性を証明した.また浮力周波数を無限大とする特異極限問題において,同方程式の長時間解である3次元の速度ベクトル場が,2次元 Euler 方程式の長時間解に収束することを証明した.特に,任意の有限な時間区間での時空積分ノルムによる収束を示し,また線形評価の観点から最適と考えられる収束の速さを導出した.
(2)2次元非粘性成層 Boussinesq 方程式の長時間可解性と特異極限:2次元全空間において,非粘性成層 Boussinesq 方程式の初期値問題に関して研究を行った.2次元の場合は3次元と異なり,同方程式の長時間一意可解性が,Sobolev正則性 s>3 において知られている.本研究では,埋め込み定理の観点から最適と考えられる Sobolev 正則性 s>2 において,同方程式の長時間一意可解性を証明した.特に,先行研究での証明方法は,線形時間発展作用素に対する時空積分評価と爆発判定法による背理法であったが,本研究では3次元の場合の特異極限問題で用いた安定性の手法を適用することで,背理法を用いずに解の延長に関する証明を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究成果は,3次元非粘性成層 Boussinesq 方程式に対する長時間一意可解性および特異極限問題を解決したことである.また,その研究で用いた線形発展作用素に対する時空積分評価,極限方程式の安定性および解の延長に関する議論を用いることで,2次元非粘性成層 Boussinesq 方程式の最適な初期値正則性での長時間可解性と特異極限に関しても成果を得ることが出来た.本研究手法は,今後の研究課題である回転成層流体方程式や回転浅水方程式に対する特異極限問題への応用も期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,現在までの研究で得られた線形時間発展作用素に対する線形分散型評価や時空積分評価,および非粘性成層 Boussinesq 方程式に対する特異極限問題の証明手法の応用として,回転成層流体および回転浅水方程式に対する長時間可解性と特異極限問題を考察する.また対応する圧縮性流体方程式の非粘性非圧縮極限などの多重スケール極限問題への応用も考察する.特に回転浅水方程式に対しては,回転の影響を考慮した最適な線形分散型評価の導出とその非線形問題への応用を考察し,回転が流れに与える異方性のメカニズムを解明することを目標とする.
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Research Products
(25 results)