2016 Fiscal Year Annual Research Report
巨視的懸架鏡の基底状態実現と空間量子化の実験的検証
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15H05444
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 伸之 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (30750294)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 機械振動子 / 光計測 / 光制御 / 巨視的量子力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、光計測・光制御技術を応用した巨視的懸架鏡の振り子振動モードの基底状態冷却を実現するための準備を進めた。 平成27年度に進めることの出来なかった機械的に低散逸な懸架系の開発に関して、一般的なheat&pull法によって作製したシリカファイバー(直径1 um, 長さ1 cm)を用いて質量10 mgの鏡を懸架することに成功した。懸架鏡の減衰振動の測定の結果、10万を超える振り子振動モードの機械的Q値を実現した。現在の機械的Q値を制限している要因として、鏡とファイバーの間のボンディング部分の機械的なエネルギー損失が支配的となっていることを示唆する実験データが得られた。しかし、光トラップによるエネルギー損失の光希薄化(optical dilution)の効果を考慮に入れると、現在の機械的Q値でも共振周波数を2 kHzまで光ポテンシャルで高めた振り子振動モードの基底状態冷却は可能だと考えられる。 また、平成27年度にそれぞれ個別に放出ガス量を評価した移動ステージ・リモートアクチュエータ・ミラーホルダ等の機械部品・防振装置を大型真空容器に設置した。そして、真空容器の真空テストを実施した結果、一日で約2e-6 Paを実現した。これは、振動子の基底状態冷却を実現するための要求値を満たしている。 これらの結果から、平成29年度に実施する予定のフィードバック冷却による巨視的機械振動子の基底状態冷却おいて、変位測定感度を制限する雑音源の一つである振り子振動のブラウン運動の影響は十分に低減できたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた超高真空装置の開発・低散逸懸架系の開発を実現し、変位測定系の感度を制限する主な雑音源の一つである振り子ブラウン運動の影響を抑えることが可能となった。 よって、進捗状況としては「(2)おおむね順調に進展している。」が妥当である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は変位測定系の開発を継続し、振動子振動のフィードバック冷却を行う。 基底状態を実現するためには変位感度1e-18 m/sqrt(Hz)@2 kHz程度が必要であり、その実現に向けたノイズハンティングを実施する。
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Research Products
(1 results)