2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Oxidative Coupling Reactions Using Designer Iodine Catalysis
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15H05484
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 合成化学 / 有機化学 / 次亜ヨウ素酸塩 / 超原子価ヨウ素 / 酸化的カップリング / 酸化的脱芳香族化 / エナンチオ選択性 / 位置選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヨウ素化合物をを有機分子触媒とする酸化的変換反応の開発を行った。 (1)次亜ヨウ素酸塩触媒:触媒量のヨウ化物と過酸化水素あるいはアルキルヒドロペルオキシドから in situ で調製される次亜ヨウ素酸塩触媒を用いるフェノール類の酸化反応を検討し、過剰量のTBHPを酸化剤かつ求核種に用いることで、フェノール類の非金属系過酸化的脱芳香族化反応の開発に初めて成功した。 (2)超原子価ヨウ素(III)触媒:キラル超原子価ヨウ素(III)触媒を分子設計し、ortho-及びpara-ヒドロキノン誘導体のエナンチオ選択的酸化的脱芳香族化反応を開発し、対応するキノンモノケータル体を高い化学及び不斉収率で得ることに成功した。特に、分子内水素結合を特徴とする立体配座が柔軟な本触媒では、触媒末端の立体電子遠隔効果により高い不斉誘起が可能になった。 (3)超原子価ヨウ素(V)触媒:超原子価ヨウ素(V)触媒を用いた世界初のフェノールの高位置選択的酸化反応の開発に成功した。本研究では、非含水条件で高活性を示すIBS/Oxone触媒システムを用いることで、2-置換フェノールからは1,2-キノール及びその二量体を効率よく得ることに成功した。特に非対称な2-置換フェノールの酸化反応では、これまでにない高位置選択的な酸化反応により対応する1,2-キノール及びその二量体が高収率で得られた。加えて、基質のオルト位にシリルメチル基を導入することで、さらに位置選択性が向上することを見出した。シリル基はさらなる化学変換が可能であり、様々な有用骨格の合成に応用することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)次亜ヨウ素酸塩触媒では、非金属系触媒によるフェノール類の過酸化的脱芳香族化反応に初めて成功し、様々な有用化合物に変換可能なシクロヘキサ-2,4-又は-2,5-ジエノン骨格の新たな構築法を開発した。 (2)超原子価ヨウ素(III)触媒では、分子内水素結合を鍵とするデザイン型触媒を用いることで、これまでに非常に困難とされてきた(エナンチオ選択的酸化が未報告)、ortho-及びpara-ヒドロキノン類の初めてのエナンチオ選択的酸化的脱芳香族化反応に成功した。これにより、様々な天然物や生物活性物質の不斉合成が可能になる。 (3)超原子価ヨウ素(V)触媒:IBS触媒を用いる非対称な2-置換フェノールの酸化反応では、これまでにない高位置選択的な酸化反応により対応する1,2-キノール及びその二量体が高収率で得られた。その際、反応点の正電荷のさらなる安定化を目指し、オルト位にシリルメチル基を導入した基質を設計し、β-ケイ素効果によって高い位置選択性を発現するだけでなく、反応活性も大幅に向上することを新たに見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)第四級アンモニウム次亜ヨウ素酸塩触媒システム:キラル次亜ヨウ素酸塩触媒を用いて、ケトアミン誘導体の分子内酸化的環状アミノ化反応を開発し、光学活性2-アシル含窒素複素環の不斉合成の確立を目指す。また、安価なナトリウムアジ化物をアジド源とするカルボニル化合物の酸化的直接αアジド化反応を開発する。 (2)超原子価ヨウ素(III)触媒システム:キラル超原子価ヨウ素(III)触媒を用いて、堅固な骨格を有するビアリールヒドロキシカルボン酸のエナンチオ選択的酸化的脱芳香族化反応を開発し、天然物arnottin IIの不斉合成を目指す。 (3)超原子価ヨウ素(V)触媒システム:これまでの知見を元に、高活性超原子価ヨウ素(V)触媒を新規に分子設計し、温和な条件下(最終目標:常温・常圧)でのアルコールの選択的酸化反応を開発する。
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Research Products
(24 results)