2015 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタス元素による高選択的炭素ー炭素及び炭素ー窒素結合形成反応の創出とその応用
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15H05485
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平野 康次 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70532696)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 銅 / 炭素ー水素結合切断 / イソインドリノン / イソニトリル / マレイミド / 酸化カップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
一年目の研究計画に則り、ユビキタス元素として主に銅を触媒とした炭素ー炭素ならびに炭素ー窒素形成反応の開発に取り組んだ。その結果、不活性炭素ー水素結合切断を経る二種の含窒素複素環の新しい構築法を見出した。一つ目は、ベンズアミドの芳香族炭素ー水素結合切断を鍵とするとイソニトリルとの形式的[4+1]環化付加反応であり、炭素ー炭素ならびに炭素ー窒素形成が連続的に進行することでイミノイソインドリノンを入手容易な出発物質から一段階で合成することができる。これまで、類似の分子変換は貴金属であるパラジウムやロジウムを触媒として用いると進行することが知られていたが、安価で、地殻埋蔵量の豊富な第一周期の遷移元素でこの形式の分子変換を達成した例は報告されておらず、学術的にも極めて興味深い結果といえる。二つ目としては、同じくベンズアミドの芳香族炭素ー水素結合切断を経由したアルケンとの直接的酸化カップリング反応の開発である。比較的活性の高いマレイミドしか用いることができないが、銅を触媒とする不活性炭素ー水素結合直接官能基化において、アルケンをカップリングパートナーとして用いることに成功した極めて稀有な報告である。本手法においても、炭素ー炭素結合が生じた後に、自発的に炭素ー窒素結合形成反応が進行し、対応するスピロイソインドロンを与える。この化合物は興味深い生物活性を有することが知られており、広範な誘導体を迅速に提供できる方法として本手法は合成化学上、極めて魅力的といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目の研究計画に則り検討をおこなった結果、ユビキタス元素である銅を触媒とする新規かつ直接的な炭素ー炭素ならびに炭素ー窒素結合形成を伴う含窒素複素環の構築法開発に成功した。また、関連する計画として掲げていたsp3炭素ー水素結合切断にも有効な銅触媒を見出すに至っている。以上の事実より、研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
一年目で見出した銅触媒sp3炭素ー水素結合切断を経る分子変換を確立させる。一方で開発した手法を機能性が期待される分子群の合成へと応用する。一例として、銅触媒直接ビアリールカップリングと炭素ー窒素結合形成反応を組み合わせ、高度縮環含窒素芳香族化合物の合成へと展開する予定である。
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Research Products
(11 results)