2015 Fiscal Year Annual Research Report
pKaが大きく可逆変化するナノゲルの設計法の探求と高効率エネルギー変換材料化
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15H05486
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
星野 友 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40554689)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノゲル / pKa / プロトンインプリント |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、感温性ナノゲル内の酸・塩基のpKaが相転移温度を境に大きく変化する事を見いだした。このpKa変化を利用すればヘモグロビンやプロトンポンプの様に高効率なイオン・プロトン分離が可能になることが期待されている。しかし、 達成したpKa変化はプロトンポンプ内のpKa変化より二桁以上小さかった。本研究では、pKaが変化するナノゲルの生成原理を解明し、大きなpKa変化を示すナノゲルを設計・合成・単離する方法を探求する事を目的とした。さらにプロトンポンプの様に高効率のエネルギー変換機能を有し、安価で安定な超機能材料を実現することを目指した。
平成27年は、ナノゲル重合時のpH、塩強度、粒子径、架橋密度、反応温度、重合速度等がナノゲルのpKa変化に与える影響を解析し、大きなpKa変化を生じるナノゲルの生成メカニズムを解明した。さらに様々な酸・塩基性モノマー、疎水性モノマー、架橋剤、開始剤を用いてナノゲルを合成し、各pH領域で大きなpKa変化を起こすナノゲルの合成法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り様々な構造を有するカルボン酸含有モノマーを合成し、ナノゲル内に導入することに成功した。その結果、カルボン酸モノマーの疎水性や酸性度の調節によりナノゲル内のカルボン酸の酸解離定数を自在に制御できるようになった。疎水性上昇により収縮時のカルボン酸の酸性度を低下させることができた。また、カルボン酸の近傍にハロゲンを導入することでナノ粒子内のカルボン酸の酸性度を上昇させることに成功した。
また、カルボン酸含ナノゲル内にカチオン性モノマーを導入する合成方法を確立し、さらに当該ナノ粒子の酸解離定数を定量する方法を確立した。計測の結果、対カチオンがカルボン酸の酸解離定数を低下させ、その程度はカチオンとアミンの距離に依存することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年以降は、様々なタンパク質分画法によりナノゲルを分画し、より大きなpKa変化を示すナノゲルを単離する方法を確立する。さらに様々なpH領域でpKaが変化する粒子を多層組織化し、プロトンポンプのように熱エネルギーを大きなイオン濃度勾配に変換する新規かつ高効率な熱エネルギー変換材料を開発する。
代表者は、フリーラジカル重合法により合成されたナノゲルが溶液中の個々のナノゲルが異なる標的分子認識能を有している事を明らかにしている。また、タンパク質分離方法を用いると特定の性質を有するナノ粒子だけを単離濃縮可能である。pKa変化能を有するナノゲルについても、ナノゲル溶液中に様々な密度のナノゲルが混在し、相転移温度付近において、密度が大きく異なるナノゲル粒子を分画できる事を見いだしている。分画後のナノ粒子は分画前のナノゲルよりも大きなpKa変化を示す。よって平成28年度以降は、例えば下記の3つのタンパク質分画手法をナノゲル分画に適用しより大きなpKa変化を示すナノゲルを単離濃縮する。
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Research Products
(10 results)