2015 Fiscal Year Annual Research Report
表面プラズモン共鳴を利用した新規生体潤滑分子スクリーニング法の構築
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15H05506
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 浩司 京都大学, 健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 准教授 (70536565)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 関節軟骨 / 潤滑 / ルブリシン / shRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
生体の関節表面近傍には種々のタンパク質・脂質が存在しており、潤滑機能に影響を及ぼしている。しかし、関節のトライボロジー特性に影響を与え得る分子を同定する手法は確立されておらず、関節における分子間相互作用と力学機能の関係はほとんど解明されていない。本研究では生化学的に抽出した新規分子と、潤滑機能に関連する物理パラメータとの関係を迅速に評価できるシステムの構築を目指している。本年度はまず、分子生物学的な観点からタンパク質相互作用を中心に、ルブリシンを起点とした潤滑に寄与し得る物質の抽出を試みた。まず、マウスルブリシンcDNAの全長クローニングを行い、ポリペプチドタンパク質タグを付加した後アフィニテイー精製を行い、タグタンパク質によって選択的にルブリシン複合体を抽出することを試みた。細胞には軟骨様のフェノタイプを示すマウス株化細胞を用いたが、スプライスの影響や精製度の影響から精度よく複合体を抽出することは困難であった。そこで、ルブリシンのノックダウンによって、実際に潤滑機能が低減する条件下で3次元培養を行い、非ノックダウン群との比較で発現タンパク質の違いを検証する方法を試みた。ルブリシンをコーディングしている遺伝子Prg4のshRNAをアデノ随伴ウイルスによって数種作製しノックダウン効率を検証した結果、配列特異的にノックダウンすることを確認した。現在バイオリアクターを用いて組織の3次元再構築を行い、ルブリシンノックダウンによって潤滑機能に影響を与える培養条件を検討中である。また、これらの潤滑機能を精度よく評価するために、新規に潤滑機能を評価する試験機の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に生化学的手法によって抽出したタンパク質複合体の解析を行い、候補分子の抽出を行う予定であった。しかし、精製度の問題などから、shRNAおよび3次元軟骨組織を用いて、ダイレクトに潤滑に寄与し得るタンパク質の発現比較に変更したため、摩擦機器の開発を含め当初の予定より解析に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
Prg4のshRNAによりダイレクトに潤滑機能を低減させる分子群の抽出を継続して進める。また並行して、界面近傍の分子相互作用を特異的に検出でき、且つ界面間の物理作用を同時に計測できるシステムを表面プラズモン共鳴を利用して構築する。
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