2016 Fiscal Year Annual Research Report
表面プラズモン共鳴を利用した新規生体潤滑分子スクリーニング法の構築
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15H05506
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山本 浩司 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (70536565)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 表面プラズモン共鳴 / 関節潤滑 / 微小界面間力 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体の関節潤滑機能には関節表層や関節液に含まれる分子群が関与している。潤滑に関わる分子として、多糖タンパク質や脂質などの存在が報告されているが、分子レベルにおける化学的相互作用と潤滑を含む物理作用との関係性は解明されていない点が多い。本年度は表面プラズモン共鳴を利用して、界面間分子の化学的・力学的相互作用検出システムの開発に着手した。光学システムとして表面プラズモンを励起するための金属膜はプリズム上面側に成膜するクレッチマン配置を採用した。高周波マグネトロンスパッタリングによってプリズムと同質のカバーガラスに銅を蒸着し、マッチングオイルを介してプリズム上面に設置した。未知の相互作用検出を可能とするために、一定の角度分布を有する光を入射させ、プラズモン共鳴角の逐次探索を必要としない系を構築した。入射光には波長632.8 nmのHe-Neレーザーを用い、ビームエキスパンダーやグランテーラープリズムを介して金属膜の存在するプリズムに入射させた。試験的にBK7のプリズムを用い、大気圧雰囲気下で反射光強度をイメージセンサおよびCCDカメラのデータから解析した結果、実測平均銅膜厚52 nmで表面プラズモンの励起を確認した。また銅の複素屈折率から反射率の理論値と銅膜厚の関係性を検証した結果、実測値と理論値の膜厚誤差はスパッタリングの成膜誤差に入っていたものの、成膜精度の向上は今後の課題である。またマイクロカンチレバーを用いた微小界面間力の測定系を並行して構築している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者の研究機関の異動(京都大学→同志社大学)に伴い、実験環境や研究環境の再構築に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究機関の異動に伴い一時的に停止していた遺伝子組換実験の環境が整ったため、組換タンパク質の合成を行い、既知のタンパク質との相互作用を検証する。そのためにプラズモン光学系に微小界面間力計測系の組み込みを行い、化学的・力学的相互作用の検出システムの開発を優先的に進める。
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