2015 Fiscal Year Annual Research Report
極微細世代における新規磁壁移動方式の研究と3次元デバイスへの展開
Project/Area Number |
15H05521
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
深見 俊輔 東北大学, 省エネルギー・スピントロニクス集積化システムセンター, 准教授 (60704492)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 電流誘起磁壁移動 / 微細化 / 磁壁 / 垂直磁気異方性 / 面内磁気異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は極微細世代(30nm以下)での電流誘起磁壁移動を実現する新方式を提案し、微細ナノ磁性体の新たな物理を開拓し、それに加えて3次元磁壁移動デバイスの世界初の動作実証へと発展させることを目指している。具体的には、電流誘起磁壁移動を極微細世代で実現するため、まずは現行の垂直磁化方式の微細化限界を見極め、次に極微細世代で有用と考えられる面内磁化方式でのデバイス設計指針をシミュレーションから検討し、またその動作を実証する。さらに、3次元磁壁移動デバイスの形成プロセスを確立し、その動作実証に取り組む。 平成27年度は、はじめに垂直磁化方式の微細化限界を実験と理論をもとに検討し、現在標準的に用いられている材料であるCo/Ni積層膜では約15nm以下への微細化が難しいことを明らかにした。また垂直磁化方式を用いた場合には高い磁気異方性材料を用いることが更なる微細化を実現する上では適していることが分かった。これらの成果はJapanese Journal of Applied Physicsに投稿し、採択、出版されている。 次に極微細世代において良好な動作が期待される面内磁化方式について、シミュレーションを用いてその可能性を検討した。結果として研究提案時の予想通りに、線幅が約20nm以下となったときに垂直磁化方式に比べて優れた特性が得られることが分かり、また10nm付近では極めて低いエネルギーでの動作が可能であることが分かった。これらの知見をもとに特許出願を行った(特願2015-98976)。 加えて、極微細細線形成プロセスの構築や測定方法の立ち上げにも取り組み、現時点でその方策はほぼ確立している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年間で推進することを計画しており、1年目はその準備段階、2年目で最初の方式の動作実証、3年目でより発展的な構造の動作実証に取り組むこととしている。 1年目となる平成27年度では、旧方式の限界を見極めることができ、また新たに提案する方式を実現するための設計指針や素子の作製プロセス、評価方法などを確立することができた。これらは申請の段階で記載した内容に沿って進捗していると言える。また学会発表、論文化、特許化についても順調に進めることがでいている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は平成27年度に得られた知見、及び構築した素子形成プロセスや評価方法を用いて、本研究の主たる目的である面内磁化容易軸を要する極微細強磁性細線を作製し、その動作を実証することを目指す。 具体的には、まずはNiFeからなる10~40nm程度の細線を電子線描画とArイオンミリングを用いて作製する。このプロセスの最適化を行う。次に作製した素子を用い、異方性磁気抵抗効果に由来する磁壁抵抗を用いて磁壁移動の検出を行う。そして、細線に電流を導入したときの磁壁の振る舞いを計測し、面内磁化細線を用いたこれまでは未踏であった極微細世代における磁壁移動の実証を行う。加えて磁壁の慣性質量の定量化などの物理的に興味深いが未解明な課題にも取り組む。 また最終年度となる平成29年度における3次元デバイスの動作実証を見据え、年度の公判では3次元ピラーデバイスの形成プロセスの立ち上げにも取り組む予定である。
|
Research Products
(3 results)