2015 Fiscal Year Annual Research Report
光反応性液晶を媒介としたベクトルホログラフィによるテラヘルツ偏波の時空間制御
Project/Area Number |
15H05523
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 友之 長岡技術科学大学, その他部局等, 准教授 (90553090)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | テラヘルツ/赤外材料・素子 / 液晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
液晶は、種々の外場に対する応答性を有するとともに、テラヘルツ帯においても大きな屈折率異方性を示すことから、テラヘルツ波伝搬のアクティブ制御素子用材料としての可能性を秘めている。本研究は、申請者が独自に提案したベクトルホログラフィの手法により、光反応性液晶の分子配向を実時間で空間的に制御し、それを介してテラヘルツ波の偏波を時空間で高度に変調する技術の確立を目的に実施している。 平成27年度は、液晶材料がテラヘルツ波伝搬のアクティブ制御素子へと応用可能であることを実証すべく検討を進めた。可視域における液晶を利用した光デバイスにおいては、主に、酸化インジウムスズ透明電極を介して印加する外部電圧よって液晶の分子配向に変化を誘起することで光の位相や偏光等が制御されている。しかしながら、酸化インジウムスズ薄膜はテラヘルツ帯における透過率が著しく低いため、液晶を介した電圧印加によるテラヘルツ波の伝搬制御を行うためには、テラヘルツ帯で透明な電極材料の探索も重要となる。当該年度は、広い周波数領域において高い透過率を示し、なおかつ導電性も併せ持つ稀有な材料であるグラフェンに着目し、これを電極として用いて作製した液晶セルによるテラヘルツ波の伝搬制御について実験的研究を行った。その結果、グラフェンが液晶セル用電極として機能することが確かめられた。また、ランダム配向液晶セルを用いることによって偏波の状態に無依存なテラヘルツ波の位相制御が実現された。この特性は、テラヘルツ波の波長が配向ドメインのサイズより大きいことにより生じたものと推察された。本研究により、テラヘルツ帯における液晶素子の有用性が実証できたと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、光反応性液晶材料を媒介とした光によるテラヘルツ波の制御について検討を開始する予定であったが、研究に用いるテラヘルツ発振器の作製が予想以上に難しく、年度末まで実験を開始できない状況となってしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究に用いるテラヘルツ発振器は構築できたことから、今後は、当初の研究計画に沿って、光反応性液晶材料のテラヘルツ帯における光学定数の評価、並びに光反応性液晶を媒介とした単一光ビームの照射によるテラヘルツ波の伝搬制御について検討を進める。その後、ベクトルホログラフィを利用したテラヘルツ偏波の変調技術について研究を開始し、時空間偏波イメージング等への応用を試みる。
|
Research Products
(2 results)