2015 Fiscal Year Annual Research Report
トンネルトランジスタのトラップエンジニアリングによる新機能素子の創製
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15H05526
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
森 貴洋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 研究員 (70443041)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トンネルトランジスタ / 等電子トラップ / 集積デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
1:本年度は等電子トラップのエンジニアリングを実現するために、複数種の不純物についてトラップ準位の形成を試みた。実施内容はノウハウに該当するため、ここでは詳細を述べない。これまで用いてきたAl-N不純物は良好に準位を形成することが確認されている。また共同研究先が行なった理論計算によっては、Al-NをはじめとするIII-V族複合不純物が等電子トラップの形成に極めて有効であることが確認された。これはNの3s軌道が、III族原子とNとが結合することによって等電子トラップとして有効化されることによる。また同様に、Oを用いたII族-Oの複合不純物も有効であることがわかった。これにより、実験・理論の両面から、等電子トラップ準位のエンジニアリングの方針が明らかとなった。 2:等電子トラップ形成の確認には発光測定を行なっているが、これは過去の研究においては傍証を重ねてAl-N不純物からの発光であろうという推論がなされるに留まっていた。本年度はAl-N等電子トラップからの発光について励起強度依存実験を実施、Al-N等電子トラップに束縛された励起子からとされてきた発光線が、確かにそうであることを明らかにした。この結果は来年度発表予定である。 3:Al-N等電子トラップ形成には低温アニールを施すが、その条件の最適化を行なった。パラメータは時間と温度である。その結果、450度24時間のアニールが最適であることがわかった。本実験からはAl-N等電子トラップの形成機構に関する知見があわせて得られた。これについても来年度発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は等電子トラップ準位のエンジニアリングの方針を示すことが目標であった。これが達成されたのに加えて、発光の物理に関する知見、また形成機構に関する知見が得られている。形成機構に関しては、次年度に実施する予定であった内容の一部である。よって、当初の計画以上に研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた知見を基に、シリコントンネルトランジスタのチャネル中に等電子トラップを形成するに最適なプロセスを検討する。これによって駆動電流増大率を過去の結果より高めることを目指す。
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Research Products
(2 results)