2015 Fiscal Year Annual Research Report
超高密度地震観測に基づく宅地造成斜面におけるダイナミック地すべり挙動の広域的評価
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15H05532
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
秦 吉弥 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80463561)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高密度臨時地震観測・余震観測 / 首都直下地震 / 高密度常時微動計測 / サイト増幅・位相特性 / 地震地すべり / 造成宅地 / 強震動シミュレーション / フラジリティカーブ |
Outline of Annual Research Achievements |
●造成宅地のダイナミック地すべり挙動の「予測」について 近未来に発生が予想されている大規模地震によって谷埋め盛土を含む造成宅地に作用する地震動を高精度に予測することは、造成宅地の耐震性評価などを行う上で大変有意義である。そこで,我が国最大の造成宅地(横浜市)を対象に、地震アレー観測を超高密度に実施し、得られた記録に基づいてサイト増幅・位相特性を評価した。そして、評価したサイト特性に基づいて首都直下地震(東京湾北部地震)による強震波形計算を広域かつ高密度に実施し、谷埋め盛土の地震被災の評価に適した地震動指標について考察を行った。 ●造成宅地のダイナミック地すべり挙動の「事後評価」について 2014年11月22日に発生した長野県北部を震源とする地震では、白馬村神城地区内における段丘斜面を含む造成宅地に位置する集落において住家の倒壊を伴う深刻な被害が発生した。一方で、同じ神城地区内の造成宅地においても住家等が無被災であった集落も確認されている。そこで、以下の取り組みを実施し、非常に有用な研究成果と知見を得た。 (イ)神城地区において臨時の余震観測を高密度に実施し,得られた記録に基づいてサイト増幅・位相特性特性を評価した。(ロ)本震時に神城地区に作用した強震波形を広域にわたり評価した。(ハ)神城地区を対象に,高密度常時微動計測を実施した。(ニ)微動計測地点(232地点)でのサイト増幅特性をそれぞれ評価し、サイト増幅特性の値に対する住家被害の関係について基礎的検討を行った。(ホ)推定地震動の指標値と住家の被災実績との関係に基づくフラジリティカーブを構築し、ダイナミック地すべり挙動の評価に適した地震動指標に関する考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
懸案であった対象とする造成宅地における地震計の臨時設置が当初の予定よりも広域かつ高密度に実施できただけでなく、比較的良好な中小地震による地震動を、対象造成宅地内においてアレー観測(同時にキャッチ)することに成功したためである。 さらに、当初予定されていなかった内容として、2014年長野県北部の地震(2014年長野県神城断層地震)の強震動の作用によって被災した(ならびに無被災であった)神城地区の造成宅地(段丘斜面を含む)において臨時余震観測を実施し、得られた観測記録を分析することで、ダイナミック地すべり挙動の事後評価を行うことができ、非常に有益な研究成果を得ることができたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度(2015年度)に得られた対象造成宅地での地震アレー観測記録をより詳細に分析することによって、ダイナミック地すべり挙動の広域・高密度評価を実施していく予定である。また、臨時地震観測点の間を補間する目的で、対象造成宅地において常時微動計測を超高密度に実施することで、ダイナミック地すべり挙動のより詳細な分析を進めていく予定である。さらに、ダイナミック地すべり挙動の分析結果が、2014年長野県北部の地震による神城地区の段丘斜面を含む造成宅地の被災・無被災実績に対して、どの程度類似しているのかにも着目した検討を行っていく予定である。
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Research Products
(13 results)