2015 Fiscal Year Annual Research Report
超大地震動を受ける鋼構造ラーメン骨組の非倒壊設計技術の構築
Project/Area Number |
15H05536
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
向出 静司 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20423204)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 鋼構造 / 倒壊 / 耐力劣化 / 柱脚 / 合成梁 / 局部座屈 / 破断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,建築基準法が想定する地震入力レベルを超えるような地震動に対する鋼構造建物の倒壊性状を定量的に評価し,非倒壊をクライテリアとした設計技術を発展させることを目的としている.本年度においては,(a)露出柱脚アンカーボルトの曲げ引き抜き実験,(b)根巻柱脚の大変形域載荷実験,(c)耐力劣化性状を表現するための復元力モデル提案・解析プログラム開発,(d)倒壊挙動把握のためのパラメトリックスタディを実施した.各項目の概要は以下のとおりである. (a)実挙動と同様,アンカーボルトに引張力だけではなく曲げせん断力も載荷するような曲げ引き抜き実験により,破断までの伸び性能の適正な評価を試みている.曲げせん断力が伸び性能に及ぼす影響を考察するとともに,定量的に評価する方法を提案した.(b)本課題に先立って実施したパイロット実験を基準として,載荷方向,載荷履歴,根巻き部の設計方法をパラメータとした静的載荷実験を実施した.いずれも,根巻き部の曲げ破壊が生じて大きな塑性変形を経験した後に支圧破壊が生じて耐力低下に至っている.この間の耐力劣化性状について,各パラメータに応じた定性的な傾向を考察した.(c)既存プログラムに対して,破断による耐力劣化特性と,柱脚の耐力劣化特性を付加するバージョンアップを施した.また,このプログラムを用いて,合成梁の様々な耐力劣化(スラブの圧壊,接合部破断,局部座屈)を考慮することが可能な復元力モデルおよび解析モデルを提案した.(4)上記の解析プログラムを利用したパラメトリックな地震応答解析により,鋼部材接合部の破断が倒壊性状に及ぼす影響,および合成梁の耐力劣化が倒壊挙動に及ぼす影響について考察している.また,柱脚の耐力劣化特性を復元力特性が倒壊挙動に及ぼす影響についてもパイロット的に検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は4つの項目,(a)露出柱脚アンカーボルトの曲げ引き抜き実験,(b)根巻柱脚の大変形域載荷実験,(c)耐力劣化性状を表現するための復元力モデル提案・解析プログラム開発,(d)倒壊挙動把握のためのパラメトリックスタディについて検討した.当初計画では(a)~(c)のみの予定であったが,(c)を前倒しで実施できたことで,(d)についても計画より早く着手することが可能となり,一定の成果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に得られた成果を踏まえて,以下の項目について研究する. (1)露出柱脚の大変形域載荷実験:アンカーボルト先行降伏型の露出柱脚においてアンカーボルトが破断するような大変形域載荷実験を行う.埋込アンカーボルトの曲げ引き抜き実験により評価された伸び性能が露出柱脚形式の実験においても同様に発揮されることを確認するための実験である.併せて,アンカーボルトセットの引張試験も実施する. (2)根巻柱脚の大変形域載荷実験:根巻き部の設計方法をパラメータとして追加の試験体による実験を実施する.昨年度の実験結果も含めて耐力評価方法についても検討する. (3)復元力モデル提案・解析プログラム開発:各種柱脚形式に応じた新しい復元力モデルについて検討する.主に,フラッグ型や武田モデルといった履歴特性をベースにして耐力劣化域を含めた挙動をモデル化する. (4)複合的な耐力劣化要因を考慮した倒壊解析:局部座屈・接合部の破断・柱脚部の損傷・合成梁スラブの損傷を耐力劣化要因として考慮したパラメトリックな倒壊解析を実施する.
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Research Products
(11 results)