2015 Fiscal Year Annual Research Report
BCC/HCP相変態を利用した超高強度かつ高機能性を有するMg-Sc合金の創製
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15H05549
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安藤 大輔 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50615820)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マグネシウム / スカンジウム / 超高硬度 / 時効析出 / 超弾性 / 形状記憶 / BCC/HCP変態 / マルテンサイト変態 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでの基礎研究において、マグネシウム基の合金では過去に報告例がないような超高硬度の時効硬化型Mg-Sc合金の創製に成功している。この硬化メカニズムは高温相であるBCC相中に、熱処理によってナノレベルの微細なHCP相がBurgersの関係で高密度に析出することによる。また、この合金においてこのBCC/HCP変態が応力誘起でも生じることも見いだしている。もし、熱弾性型マルテンサイトBCC/HCP変態が生じれば、超弾性や形状記憶と言った機能性を併せ持った超高硬度・高延性マグネシウム合金の創製が実現できると考え研究を行っている。本研究ではマグネシウム基合金で初のBCC/HCP変態を利用した組織制御の材料学的指針の確立を目指し、(1)BCC/HCP変態を利用した加工熱処理プロセスによる高強度・高延性二相組織の探索、(2)HCP相を規則BCC相が包括した組織の変形機構解明、(3)BCC/HCP応力誘起変態の組成依存性と添加元素の影響、(4)BCC/HCP変態による超弾性効果・形状記憶効果の評価を行うことを目的として行っている。 当該年度においては、(1)、(2)に注目して研究を行ってきた。多くのHCP合金は圧延過程において主すべり系によって集合組織が形成されてしまい、強度は上昇するものの延性が低下してしまうという問題があった。しかしながら、当該合金においては、熱処理と圧延を繰り返すだけでランダム配向なHCP単相組織が得られることが分かった。これにより、HCP単相でも高延性化が可能となった。また、長時間の低温熱処理によってBCC相の規則化を行い、組織を透過電子顕微鏡観察して結晶構造などを詳細に調べているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況は申請と同様に進んでおり、おおむね順調に進展していると考えている。しかし、試料作製が困難であるために当初の予定よりも試料数が増やせていない。今年度は作製方法をさらに工夫する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は現在行っている、(1)BCC/HCP変態を利用した加工熱処理プロセスによる高強度・高延性二相組織の探索、(2)HCP相を規則BCC相が包括した組織の変形機構解明を継続して進めるとともに、(3)BCC/HCP応力誘起変態の組成依存性と添加元素の影響について研究を進めていく予定である。現在、Mg-Sc二元系合金いおける組成依存性については傾向がつかめてきている。しかしながら、このBCC/HCP変態による超弾性が発現する温度は液体窒素温度であり、今後その温度を上げていく必要がある。そこで、本年度は上記合金に様々な添加元素を加えること、さらにはその濃度によって変態温度がどのように変化するかを詳細に調べて行く予定である。また、試料作製方法が困難であるが、小型の高周波溶解炉をうまく使って試料数を増やせるように工夫を行っていく。
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Research Products
(1 results)