2015 Fiscal Year Annual Research Report
トリチウム透過低減被覆中の水素同位体透過に対する放射線照射効果の解明
Project/Area Number |
15H05562
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
近田 拓未 静岡大学, 理学部, 講師 (20614366)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トリチウム / 水素 / 透過 / 被覆 / 放射線照射 / 酸化エルビウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、核融合炉ブランケット筐体および燃料回収系の配管からのトリチウム透過を低減するためのセラミックス被覆について、これまで知見が皆無だった種々の放射線による被覆中の水素同位体透過に与える影響を明らかにすることを目的としている。 初年度の本年度は、過去に研究代表者等によって詳細な透過挙動が明らかにされている真空アーク蒸着法および有機金属分解法による酸化エルビウム被覆の作製を行った。作製にあたって、有機金属分解法で用いる雰囲気制御型熱処理炉を整備した。これにより、有機金属分解法での被覆作製で重要となる熱処理雰囲気の制御が可能となった。真空アーク蒸着法では、基板温度やバイアス電圧を制御することにより、微細構造を変化させた被覆試料を得た。これらの被覆試料に対して放射線照射を行い、透過挙動の変化を調べた。タンデム加速器を利用した鉄イオン照射では、照射温度と損傷量をパラメータとして照射損傷を与えた被覆試料を作製した。照射後試料の重水素透過試験によって、照射試料ではいずれも非照射試料と比較して透過低減性能が向上する結果が得られた。これは、照射欠陥が生成した後に透過試験中に回復することで構成原子の再配置が起こり、被覆中の透過の律速段階である粒界拡散に影響を及ぼしたためと考えられる。中性子照射については、現在照射装置が停止中であり利用できず、また重イオン照射と比較して損傷量が4~6桁小さいため、まずは照射損傷の効果を調べるために重イオン照射効果の検討を先行することとした。ガンマ線照射環境下における水素同位体透過測定では、コバルト60密閉線源を用いて線源付近で透過試験を実施するための装置を設計、製作し、動作確認を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中性子照射施設の共同利用が安全審査のため停止したことから、中性子による照射損傷、および核変換の効果の検討が進められない状況にある。また、標準試料となる真空アーク蒸着法による被覆作製に関して、成膜装置の保守管理を行っている研究協力者が病気のため長期療養中で協力を得られない状況にあり、標準試料が十分量作製できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
重イオン照射効果については、照射前後、透過試験前後の被覆の粒構造等の微細構造分析を進め、重水素透過挙動との関連性を明らかにする。ガンマ線照射下透過試験では、種々の被覆試料について実施し、線量率、線量、試験温度等の依存性からガンマ線が水素透過に与える影響を調べる。低濃度トリチウムを用いた透過試験について装置を整備し、標準試料が入手でき次第試験を実施し、重水素透過試験との比較検討を行う。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] Crystallization and deuterium permeation behaviors of yttrium oxide coating prepared by metal organic decomposition2015
Author(s)
Takumi Chikada, Teruya Tanaka, Kenta Yuyama, Yuki Uemura, Shodai Sakurada, Hiroe Fujita, Xiao-Chun Li, Kanetsugu Isobe, Takumi Hayashi, Yasuhisa Oya
Organizer
17th International Conference on Fusion Reactor Materials
Place of Presentation
Aachen, Germany
Year and Date
2015-10-11 – 2015-10-16
Int'l Joint Research
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