2017 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換え動物を用いた哺乳類生殖細胞特異的GPIアンカータンパク質の機能解析
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15H05573
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 祥高 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (70578848)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 哺乳類生殖細胞 / GPIアンカータンパク質 / 遺伝子組換えマウス / CRISPR/Cas9 / 点変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、精子GPIアンカータンパク質X以外の生殖細胞特異的な発現を示す膜タンパク質のKOマウスを作製し解析を行った。CRISPR/Cas9の登場により、迅速な遺伝子組換えマウスの作製が可能になり、交配試験などの生殖に関する表現型解析を短期間で完了させることができた。現在、これらの解析結果も含めて、精子GPIアンカータンパク質Xに関する学術論文の作成に取り掛かっている。その他には、前年度見つけた精子受精能に必須の精子膜タンパク質ADAM3に関与する精子膜タンパク質複合体2A/2BのKOマウスを用いた機能解析が完了し、現在論文投稿へ向けて準備を進めている。
また、副プロジェクト「CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集マウス作製法の開発」の一環として、男性不妊の原因遺伝子SPATA16の点変異(R283Q)を解析対象とし、相同なアミノ酸に対する点変異(R284Q)マウスを作製し生殖能力を評価したところ、予想に反して点変異マウスと野生型マウスとの間に大きな違いは見られなかった。しかし、インフレーム変異により機能ドメインの一部(781塩基)を欠損させたマウスは、精子形成不全により不妊になることが明らかになった。以上の事から、マウスSpata16遺伝子もヒトの報告と同様に、精子形成に必須であることが分かった。このようにマウスを用いたゲノム編集技術は、従来法(ES細胞を用いた相同組換え)に比べ確実性だけでなく導入効率も非常に高いことから、機能ドメインや他タンパク質との推定結合ドメインに対して変異をピンポイントで導入することも可能である。次年度は、この技術を用いてアミノ酸レベルでの機能ドメインの探索を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度に予定していた研究計画を概ね遂行し、本課題に関連する学術論文を発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は本課題の最終年度を迎えるため、生殖細胞特異的な発現を示すGPIアンカータンパク質やそれらと関連するタンパク質の遺伝子組換えマウスの研究成果を学術論文にまとめられるように効率良く進めていく計画である。また、同じ表現型を示すこれらの因子の全容解明に向けて分子メカニズム解析を行っていく。マウスを用いたゲノム編集技術は、従来法に比べ確実性だけでなく導入効率も非常に高いことから、標的塩基に対してピンポイントで変異導入することも可能である。今後は、この技術を用いてアミノ酸レベルでの機能ドメインの探索を行い、これまでのデータベースによる推定からしか予想できなかった機能ドメインの正確な情報を明らかにしたい。
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Research Products
(12 results)