2016 Fiscal Year Annual Research Report
微小管―小胞体相互作用を基盤とするオルガネラ集積領域の役割と構築メカニズムの解明
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15H05598
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱田 隆宏 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (20452534)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オルガネラ集積領域 / 微小管 / 小胞体 / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
オルガネラ集積領域の構築には、その基盤となる表層微小管の存在が必須である。そこで今年度は微小管の制御において中心的な働きをすると考えられるMOR1タンパク質の機能解析を進めた。既知のmor1変異体(mor1-1, mor1-2)及び、新規mor1変異体(g23)において、正常なMOR1タンパク質は生育条件に関わらず、長く安定的な表層微小管を維持することに必要であることを明らかにした。またMOR1プロモーター領域を含む16 k bpのゲノム領域をクローニングし、GFPを付加したプラスミドを作成した。このMOR1-GFPをmor1変異体において恒常的に発現させると、mor1変異体の表現型を抑制した。この形質転換植物体を用いた局在解析により、MOR1-GFPが微小管上に点状に局在することを明らかにした。詳細な画像解析により、点状に見られた全てのMOR1-GFPが微小管のプラス端に局在し、そこで点滅を繰り返していることを明らかにした。また脱重合中の微小管プラス端にもMOR1-GFPが局在する場合があることが示された。さらに微小管脱重合剤を用いて、微小管の重合を著しく阻害した場合でも、MOR1-GFPが微小管の端で点滅を繰り返すことを明らかにした。 一方、微小管付随タンパク質画分で同定された代謝酵素群は、オルガネラ集積領域に蓄積することが期待された。そのイメージング解析を進めているが、現在までに解析した全ての代謝酵素は細胞質全体に局在し、微小管特異的に局在する代謝酵素は同定できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は微小管の制御において中心的な働きをすると考えられるMOR1タンパク質の機能解析が予想以上に進展した。ただし代謝酵素に関する研究は、狙い通りの成果を得ることができておらず、実験計画の改良が必要であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに得られたmor1変異体に関しては、どのように微小管動態が変化したことで、長く安定な微小管が形成できなくなっているのかを明らかにする。そしてオルガネラ集積領域への影響を調べる。また微小管と細胞膜ドメインの相互作用をより詳細に調べるために、これまでに作出したマーカーラインに加え、細胞膜ドメインの構成因子と考えられるスフィンゴ脂質、脂質合成酵素などのイメージングを行う。さらにオルガネラ集積領域には多くのRNA顆粒も係留されていた。これまでの研究により、精製した微小管画分にはsiRNAの生合成に関わる因子が濃縮されていることを明らかにしている。そこでDNA合成期特異的に形成される核表面の微小管及び、そこに形成されるオルガネラ集積領域の役割を明らかにする。 これら多角的な解析より、微小管が関わるオルガネラ集積領域の役割と構築メカニズムを明らかにする。
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Research Products
(4 results)