2017 Fiscal Year Annual Research Report
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15H05600
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉井 大志 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (50611357)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 概日時計 / 体内時計 / キイロショウジョウバエ / 時間生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
約24時間の環境変化を予測するために、多くの生物は概日時計を持っている。動物においては行動、生理、代謝、内分泌など多くの生物活動に24時間の周期性があることが分かっている。また、多くの動物の概日時計の中枢機構は脳にあることが明らかになっており、特にキイロショウジョウバエでは約150個の脳内神経細胞が概日時計を構成していることが同定されている。本研究では、そのキイロショウジョウバエの150個の時計細胞が、どのような神経回路によって結びつき、その神経回路にどのような生物学的意義があるのかを明らかすることを目指している。 平成29年度の研究では、計画通りに、pdf変異体とCCHa1変異体の多重変異体の行動解析を行うことができた。この研究結果は、当初の予想を覆すものであった。また、CCHa1の発現リズムの解析も終了し、新規の概日時計出力因子が周期的に制御されていることを明らかにできた。これらの結果は、次年度の研究に向けて非常に重要な情報である。一方、生物発光を利用した時計遺伝子発現のリアルタイムイメージングにおいては、新しいDNA組換え系統を作製することはできたが、期待していたような結果は得られなかった。さらに、計画していた時計タンパク質の抗体作製であるが、前年度に引き続き時計関連タンパク質の抗体の作製は成功することができた。現在は、それら抗体の特異性を確かめている段階であるが、利用な可能であることまではすでに同定済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、pdf突然変異体とCCHa1突然変異体の二重変異体を用いて、行動リズムの解析を行うことができた。また、CCHa1の発現リズムの解析も終了し、次年度に向けて非常に重要な結果を得ることができた。予定していた時計タンパク質の抗体作製にも取り組むことができており、まずまずの結果を残すことができている。生物発光を利用した時計遺伝子発現のリアルタイムイメージングの改善においては、予定していた通り新たなDNA組換えショウジョウバエの作製を行い、イメージング実験を行うことができたが、期待してたような結果を得ることができなかった。また、CCHa1受容体の突然変異体と考えていた系統が実際には変異体でなかったことが分かり、再度研究プランを練り直す必要もあった。しかし全体的に見れば、順調に研究が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては、期待する結果が出ていない生物発光を利用した時計遺伝子発現のリアルタイムイメージングの改善を引き続き行っていく。そのために、新たな組換えショウジョウバエの作製を計画しており、これまでの問題点を克服できるように工夫していく。また、平成29年度でCCHa1突然変異体におけるPDFの発現リズムを解析したが、pdf突然変異体におけるCCHa1の発現リズムの解析ができていない。これは新しく加える実験となるが、pdf,CCHa1二重突然変異体の行動リズムの結果を説明する重要なデータになると考えられる。さらに、これまで作製した時計タンパク質抗体を用いて、各時計細胞における免疫染色を行っていく。これは元々生物発光イメージングがうまく行かなかった場合のバックアップ実験であるので、計画通りに進めていくことになる。
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Research Products
(7 results)