2015 Fiscal Year Annual Research Report
光合成能喪失藻類をモデルとした従属栄養性への進化を駆動する因子の提唱
Project/Area Number |
15H05606
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神川 龍馬 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (40627634)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 葉緑体ゲノム / トランスクリプトーム / 珪藻類 / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
非光合成性珪藻類1株について、葉緑体ゲノムおよびミトコンドリアゲノムの全長を決定した。ミトコンドリアゲノムにはほとんど光合成種との間に特筆すべき違いは見いだせなかったが、葉緑体ゲノムはゲノムサイズや遺伝子数に著しい縮退が見られた。その縮退の主要要因は光合成関連遺伝子の喪失であることが分かった。その一方で、葉緑体ゲノム上にはATP合成酵素遺伝子、鉄硫黄クラスター合成遺伝子、タンパク質分解酵素遺伝子、リボソームタンパク質遺伝子、タンパク質輸送装置遺伝子などがコードされていた。これらの機能が、非光合成性珪藻類の生存・増殖にとって未だに必須であるために、葉緑体ゲノムが消失していないのだと考えられた。また、トランスクリプトーム解析を行い、非光合成性珪藻類葉緑体にはATPが輸送されるためのトランスポーターがあることが分かった。現在、さらにトランスクリプトームの解析を進めている。 入手した環境サンプルから、新たな株の確立を行うと同時に、これらのサンプルからDNAを抽出し、存在する生物種の同定・定量を種々の分子生物学的手法により進めている。また、環境サンプル中に存在する従属栄養性珪藻類の分子生物学的手法による定量を現在進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画されていたオルガネラゲノム解読ならびにトランスクリプトーム解析は順調に進んでいる。また、新たに株を作成するなど、実験材料の蓄積も進んでいる。環境データの蓄積も今後順調に進むことが予想されることから、上記の区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書通りに進んでいることから、今後の推進方策について大幅な変更は必要ないと思われる。今後も計画書に沿って研究を進めていく。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Proposal of a Twin-arginine translocator-mediated constraint against loss of ATP synthase genes from nonphotosynthetic plastid genomes.2015
Author(s)
Kamikawa R, Tanifuji G, Ishikawa SA, Onodera TN, Ishii K, Matsuno Y, Ishida K, Hashimoto T, Miyashita H, Mayama S, Inagaki Y.
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Journal Title
Molecular Biology and Evolution
Volume: 32
Pages: 2598-2604
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 非光合成性珪藻類無色葉緑体における機能2016
Author(s)
神川龍馬1,Stefan Zauner, Uwe Maier, Daniel Moog, John M. Archibald, Andrew J. Roger, 真山茂樹,石田健一郎,宮下英明,稲垣祐司
Organizer
第40回藻類学会
Place of Presentation
日本歯科大、東京
Year and Date
2016-03-18 – 2016-03-20
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