2015 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母を用いたトマト黄化えそウイルス逆遺伝学実験系の開発と増殖機構の解析
Project/Area Number |
15H05615
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Research Institution | 国立研究開発法人農業生物資源研究所 |
Principal Investigator |
石橋 和大 国立研究開発法人農業生物資源研究所, 植物・微生物間相互作用研究ユニット, 主任研究員 (20611742)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ウイルス / 酵母 / 複製 / 逆遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物に感染するマイナス鎖RNAウイルスは遺伝子操作ができないために増殖機構の分子レベルでの理解はほとんどなされていない。そこで、これらのウイルスの研究においてボトルネックとなっている遺伝子操作実験系の開発を進めている。これまでに、トマト黄化えそウイルス(TSWV)ゲノムのうち、一番短い分節であるS RNAを出芽酵母細胞内で複製させることに成功している。残りの分節も複製させることができればTSWVの遺伝子操作が可能となると考え、これを今年度試みたが、残念ながら成功には至っていない。ウイルスゲノム中にRNAポリメラーゼが転写を終結しやすい配列が複数個所あるために、完全長のゲノムが合成されないことが原因と考えている。一方、酵母細胞内TSWV S RNA複製系を用いることにより、S RNAの遺伝子操作と導入変異の複製への影響を調べることが可能となった。そこで、S RNAの様々な領域に欠失をもつ変異体を作製し、複製の可否を調べた。その結果、いずれかの末端の非コード領域を欠失させたときに複製が起こらなくなり、これらの領域に複製に必須なシス配列が存在することが示唆された。当該領域をレポーター遺伝子に付加したレプリコンRNAも高効率で複製したことから、TSWV RNAポリメラーゼによる複製鋳型認識には両末端配列があれば十分であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた,MおよびL分節の酵母における発現実験およびS分節の複製に影響するシス配列を調べる実験は全て行うことができた.残念ながらMおよびL分節の発現についてはうまくいかなかったが,S分節については複製に必要な比較的小さな領域を同定することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
MおよびL分節の酵母細胞内における発現は様々なアプローチを試したものの,現在までうまくいっていない.そこで,これは一旦ペンディングとし,酵母細胞内で形成したS分節のRNPを抽出し,ウイルス粒子と共感染させることによる,遺伝的再集合を介したS分節の遺伝子操作を試みる.また,複製に重要なシス配列の絞り込みを進めるとともに,当初の計画通りTSWVの複製を許容しない酵母変異株のスクリーニングを開始する.
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Research Products
(2 results)