2015 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースナノファイバーを用いたフレキシブル蓄電紙の創出
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15H05627
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古賀 大尚 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (30634539)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蓄電デバイス / ペーパーエレクトロニクス / 機能紙 / ナノカーボン / ナノセルロース / パルプ / ナノ構造 / マイクロ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、次世代のフレキシブル電子デバイスに資する大容量蓄電紙の創出を目指している。本年度は、次世代電極素材として注目を集めている還元型酸化グラフェンと紙との複合化、および、蓄電デバイス電極としての性能評価を行った。すなわち、①紙抄き技術を応用して木材パルプと酸化グラフェンを複合化、また、②パルス光照射技術によって酸化グラフェンをミリ秒単位で瞬間還元、という2つの戦略により、フレキシブルな還元型酸化グラフェン担持パルプ紙を得た。還元型酸化グラフェン担持パルプ紙をスーパーキャパシタ電極として応用したところ、最先端還元型酸化グラフェン電極に匹敵する高い蓄電容量を達成した。特筆すべきは、これまで煩雑であった酸化グラフェンとポリマーマトリックスとのコンポジット化プロセス、および、熱や化学試薬を用いる数時間の還元プロセスを、紙抄き技術と光還元技術を用いることで、劇的に簡略・短時間化したことである。さらに、得られた紙電極を紙セパレータと一体化することで、全て紙ベースのフレキシブル蓄電紙の作製にも至った。これらは、フレキシブル蓄電紙の大量生産に向けた有用な成果であり、著名な国際材料科学誌である「Green Chemistry」に掲載された。 以上の技術は、パルプだけでなくセルロースナノファイバーにも応用可能であった。その中で、紙内部の空隙構造が蓄電容量を決める大きな要因であることを見出した。すなわち、セルロースナノファイバーネットワーク由来のナノ空隙構造はもちろん、パルプネットワーク由来の比較的大きなマイクロ空隙構造も重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であったフレキシブル蓄電紙を作製することができた。また、次年度からの研究遂行に向け、さらなる高性能化への指針も得た。以上のように、本研究は順調に進んでいると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、紙内部のナノ-マイクロ階層構造制御と蓄電反応場としての機能開拓を行う。すなわち、紙内部のナノ-マイクロ空隙構造設計に係る基盤技術を構築するとともに、紙の構造と蓄電容量の相関を精査する。基礎的・学術的な知見と技術を集めつつ、さらなる蓄電容量の向上を目指す。
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Research Products
(21 results)