2016 Fiscal Year Annual Research Report
X線CTイメージングを用いたミクロレベルの木材水分移動機構の解明
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15H05628
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
渡辺 憲 国立研究開発法人森林総合研究所, 木材加工・特性研究領域, 主任研究員 (90582734)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 木材 / 水分分布 / 非破壊計測 / マイクロフォーカスX線CT |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、電子顕微鏡やマイクロフォーカスX線CTなどの高分解能分析装置の発達により、ミクロレベルの木材組織構造を可視化することが可能となってきた。この技術を用いて、木材を乾燥もしくは吸湿―脱湿させたときの水分移動機構を評価する研究が行われているが、ミクロレベルで水分分布を定量的に計測する技術は未だ確立しておらず、CT画像から得られる水分情報は限られている。そこで本研究は、CT画像と画像解析技術を組み合わせたX線CTイメージングを用いて、水分量を定量化して木材内部の水分分布を細胞レベルで計測する手法を開発し、木材を乾燥させたときに水分が細胞間をどのように移動するのか明らかにすることを目的とする。 本年度は、マイクロフォーカスX線CT装置を用いて様々な水分状態の木材を撮影した。次に、得られた3次元CT画像を解析し、水分分布の定量計測を試みた。画像解析の手順は、①画像同士を重ね合わせ、②その差分画像(または比の画像)を取得し、③取得した画像のグレースケール値を水分量もしくは含水率に変換する、といった3つの工程から成る。画像撮影時のサンプルの配置やサンプル自体の収縮変形が原因で、①において一連のCT画像を重ね合わせたときに数マイクロメートルから数十マイクロメートルのずれが生じ、差分画像を正確に求められなかった。そこで、このずれを補正してCT画像同士を細胞壁レベルで重ね合わせる画像処理手法を新たに開発し、②の差分画像(または比の画像)が取得できるようになった。これによって、ミクロレベルの水分分布計測に向けたX線CTイメージングの開発が前進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
X線CTイメージングで用いられている画像処理技術を改良し、木材のマイクロフォーカスX線CT画像に適した水分分布計測手法の開発を行ってきた。その中で核となる画像処理は、①画像同士の重ね合わせ、②差分画像の取得、③取得した画像のグレースケール値を水分量に変換、の3つの工程から成る。今年度は工程①について、3次元の画像同士をミクロレベルで一致させる重ね合わせが可能となり、工程②の差分画像を取得することができた。現在は③について検討を行っており、画像のグレースケール値と水分量との関係を表す検量線を作成中である。以上のことから、ミクロレベルの水分分布計測に向けたX線CTイメージングの開発は、当初の計画内容の90%を達成したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度に引き続き、画像処理技術を改良して水分分布計測手法を完成させ、その計測精度を評価する。画像処理については、二重エネルギーX線法および新たに導入予定のモーフィング技術を用いた木材の画像補正(収縮補正)について検討を行う。次に、完成した水分分布計測手法を用いて木材内部の水分分布を非破壊計測し、乾燥過程における水分分布の経時変化を可視化する。得られた可視化画像をもとに木材内部の水分がどのような経路を通って細胞間を移動するのかを評価する。以上、得られた結果を取りまとめ学会発表を行う。
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Research Products
(1 results)