2016 Fiscal Year Annual Research Report
企業と農山村地域の協働障壁解明とその解消による農業・環境ブランド価値の高度化
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15H05630
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
山下 良平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40515871)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 企業活動 / 環境保全 / 森林資源 / 社会貢献 / 地域ブランド |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き,企業あるいはそれに準ずる組織が地域資源の所有と保全(利用)を行うことの正負の効果を定量的に評価するため,事例調査を進めた。地方創生の文脈では,否定する地方農山村部に企業が進出することのメリットを期待する声と,地域に根付いた主体でないことによる拒否感があり,本年度は特に定量化しにくい後者に着目して調査を進めた。 結果の一例を示すと,水源地域には貴重な森林資源があり,その周辺は観光価値が高いエリアが存在するが,決定的にコミュニティの後継者が不足していることへの外国企業の参入事案がある。この点に関しては,県担当部局はあくまで手続き的公正性を堅持すること以外にはその正負の効果に関して主体的に論じないという見地であったが,住民がらは当初の予想通り賛否の県が見られた。この点をさらに掘り下げて分析するため,森林地域の希少資源の利用と保全に向けた,自主的な施策を創出することや,県・基礎自治体・林業組合らが階層的に連携を強めるために仕組み作りに対して,個人として貢献可能な量を経済的な指標から計測した。その結果,企業の参入の有無でかなりの地域差がみられ,企業の地域参加を顕在的な発展のポテンシャルとできるか安定の阻害要因と扱うかの差を生じさせる可能性を検知した。本研究の成果は既に一部は学術論文として公表が決定しており,残りの成果も準備ができ次第公表予定である。 それ以外の成果としても,希少生物資源の保全に関する都市住民や企業経営体の参加と利用価値の発掘,国内企業の環境保全活動への参加の経緯や特徴を相対化するため,海外の企業の取り組みに関する調査も並行して実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画内容に対して着実な調査が出来たほか,企業と地域の協働による希少生物資源の利用価値化とその可能性,環境資源から派生して地域の伝統文化に関する外部主体の参加による維持保全など,広範な範囲の分析対象に対してアプローチすることが出来た。成果は逐次学術的な成果として公表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,継続して現場からデータを収集することに加えて,現在までに集めたデータを統計的に分析し,企業が環境資源の保全主体となりうるか,そしてその活動自体が地域のブランド価値として評価されるかと例証する。具体的な調査対象としては,国内の希少生物資源,森林環境資源,文化資源に対する地元と企業の協働的管理,海外の農企業による地域ブランド化の開発プロセスである。これらの対象から得られた調査結果を分析し,3カ年にわたる研究の総括を行う。
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Research Products
(9 results)