2015 Fiscal Year Annual Research Report
放棄竹林の拡大と気候変動の複合作用が森林流域の洪水・渇水流量に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
15H05632
|
Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
藤原 洋一 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (10414038)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 竹林拡大 / 透水係数 / 保水性 / 撥水性 / 根量 / 洪水緩和機能 / 渇水緩和機能 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究目的:放棄竹林の拡大と気候変動が同時に進行した場合に、健全な森林の持つ洪水・渇水緩和機能がどのように変化するのかを解明する。管理竹林のみの流域、放棄竹林のみの流域、針葉樹林のみの流域を対象として、流量観測、雨水の流出経路を調べるためのトレーサー分析を行い、竹林の持つ洪水・渇水緩和機能を健全な針葉樹林のそれらと比較する。さらに、竹林の拡大を気象、社会データから予測する地理空間モデルを構築し、最先端の気候モデルのデータを利用して将来の竹林拡大を予測する。そして、放棄竹林の拡大と気候変動の複合作用が森林流域の洪水・渇水流量に及ぼす影響を解明することを目的としている。
2.研究成果:積雪地帯である石川県の里山を研究対象地に設定して、落葉樹林内および拡大竹内において土壌採取を行い実験室に試料を持ち帰り、試料の乾燥密度、根量、透水係数を測定した。吸引法によりサクション0cm、-20cm、-30cm、-50cm、-100cm時の体積含水率を計測して水分特性曲線を作成し、土壌保水性の評価を行った。さらに、water drop penetration time(WDPT)試験によって土壌撥水性の測定を行った。その結果、竹林拡大区と落葉区の土壌の違いは主に表層で見られ、前者の方が根量は多く、乾燥密度が小さい。また、根量が増加することによって同一サクション時における体積含水率が減少しており、保水性が低下することが確認された。さらに、竹林拡大区の土壌では落葉区の土壌と比較して強い撥水性が出現しやすいことも分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度行った実験に関して、観測機の故障などといった大きなトラブルもなく、順調に観測データが得られた。また、結果の取りまとめとして、論文発表も行っておりおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究によって、竹林拡大が基本的な土壌物理性に及ぼす影響が明らかになった。今後は、竹林拡大が積雪融雪過程、および、土壌内部における雨水の流出経路に及ぼす影響について検討する予定にしている。
|
Research Products
(9 results)